人事部長からの質問

2003/12/19 165

人事部スタッフの残業が増えているが…

人事部の人って残業がほんとに多いですね。人事に限らず、事務部門、後方支援部門はみなそうなのではないか、と思います。その部署から過労死が出るまでは人減らしをやめない、というトップ決断があるのではと思いたくなるくらいに徹底して管理部門のスリム化が進行している印象があります。そういう時に、人事部の人たちへのアドバイスですが、出入りの業者をうまく使って作業的なことはアウトソースすればよいのです。出入りの業者の立場でいえば、多少のお手伝いによって仕事を継続的に頂戴できるのであれば、いいですよ、やりましょうというのがホンネです。全部を自分でやろうとしないで、武士はあいみたがいで生きてゆけば体を壊さないで余力をもちつつ社会人としてやってゆけます。ゼロベースの業者の見直しはアングロサクソンの会社だけで結構であります。末永いおつきあいをしたいのです。

文責:清水 佑三

2003/12/18 164

ネット時代に勝ち組でありつづけることは可能か?

不可能だと思いますね。その理由は、ネット時代は大衆の気まぐれによってすべてが支配される時代と定義できるからです。政治でいえば、今までの集票マシンの力が機能しない。ひとりひとりが気分と見識をもって思い思いの候補者に投票します。誰に投票するかは直前まで自分でもよくわからない。1次卸、2次卸の機能をもっていた地方ボス、業界団体、組合等の影響力がどんどん衰えていっています。大都市においてそれが顕著であります。こういうひとりひとりの気分によって購買行動のウエーブのようなものが起こる時代は、勝ち組はどんどん入れ替わるとみないといけません。勝ち組を自分たちの気分で変えることが大衆の(購買行動の)隠れた動機だからです。

文責:清水 佑三

2003/12/17 163

企業内エコノミストについて。

カルロス・ゴーン氏にしても、出井伸之氏にしても、マスコミに登場して話していることをきくと、すべて発言に重みがあります。それがまったく感じられないのがエコノミストと呼ばれる人たちです。大体が、金融系の総合研究所の禄を食んでいます。週はじめに、今週の円相場の予測というのが出ますが現状のプラスマイナス5%程度の話以外にみたことがありません。あれと同じで、バカでもいえるようなことを屁理屈をつけていっている。傾聴すべき何物もない。すべての発言にリスクがない。どうしてマスコミはこういう種族に発言のスペースを与えるのか、マスコミ自体の鼎の軽重を問われていると思うが如何。企業内も注意してみてゆくとそういう人がいる。要するに批判しかできない輩です。私はいつも、心の中で「死ね」と叫んでいます。

文責:清水 佑三

2003/12/16 162

大企業病の初期症状を教えてほしい。

MBO(目標管理制度)の導入でしょうね。目標管理制度というのは、人工衛星を所定の軌道にそって動かしてゆくことをいいます。人工衛星が軌道を離れたら、必要な命令を出して軌道に戻すのです。それを寸分たがわずに実行するのがMBOの本質です。その人工衛星は所定の軌道のとおり動いているが、その人工衛星がもう必要なくなっているかもしれないという感覚は誰ももたない。次第に省益あって国益なしとなってゆきます。すべての部署においてMBOがちゃんとできれば会社の想定利益が出る、と何となくみんなが思っているのですね。そんなことは迷信なのです。生命の進化をみているとよくわかります。すべてニッチの原理で動いています。隙間があったら、すぐさま新しい生命が創られるのです。主体的に創っているとしか思えない。生命体の進化をみていると大企業病に陥らない原理原則をだれかが敷いていると思うのですね。

文責:清水 佑三

2003/12/15 161

顧客ニーズって何ですか?

よい質問ですね。利益率の高い企業の共通文化は「顧客志向性」が弱いことです。そういう事実が当社の組織文化測定センターの研究で明らかになりました。ついでにいえば、能力開発に熱心な会社ほど、成長力が弱いというデータもあります。ところで、顧客ニーズを察知してというような言い方に出会うと、この人、ほんまにそんなことを思っているのかいな、と顔をみてしまいます。ある出版社の方が話されていましたが、出版社は基本的に出したい本を出すのだそうです。出したいという欲求に対して、市場が反応するのであって、出してくれという読者の要求に対して出版社が反応するのではない、とおっしゃっておられました。顧客ニーズとは、後で振り返ったときに見える一筋の飛行機雲のようなものなのではないでしょうか。

文責:清水 佑三