人事部長からの質問

2004/01/09 175

人事部長の賞味期限は?

面白くてしかも有用な質問です。あらゆることについてその視点をもたれると世間を幅広く、かつ伸びやかにわたってゆけます。付言すれば、卓越したおいしさをみんなが享受できる食べ物の「旬」の時間は、意外なほど短いものだと思います。人事部長という職責でいえば、おれが人事部長になったら、ああしようこうしようと思っていたことについて体を張る時間が、その人の人事部長としての「旬」の時間です。当然、拍手喝采もあるだろうし、ブーイングもあると思います。いずれも思い切ったプレーにはつきまとうものです。こうした賞味期限問題は、社長も人事部長も同じであります。在位が長すぎるのは公害です。「旬」を過ぎたら、どうすべきか。深沢七郎の『楢山節考』は倅が親を山に捨てる話ですが、その時を座して待つよりは、自ら山に入ってゆくべきです。落語で言えば、お後がよろしいようで、といって座布団から自分で降りればよいのです。

文責:清水 佑三

2004/01/08 174

ブランドとは何をいうのか?

わからないカタカナ語にぶつかると英英辞書をひくのがクセになっています。とても便利です。ブランドの項には次のように書いてあります。brand → a particular type of something そうなのですね。ユニークな特徴が長い過程を経て、多くの人によって認知された場合、そのユニークな特徴(の持ち主)をブランドと呼ぶのだと思います。従って、ブランド形成条件は、(1)個性 (2)他者による認知 (3)一定の期間 の三つだとみます。ものすごいスピードでブランドが形成される場合もありえますが、個性のインパクトが強烈であるときに限られます。ソニーもホンダも井深大、本田宗一郎という強烈な個性が、他者による認知を受けて大いなるブランドが創られたのだと思います。組織だけでなく個人の生き方にとってもブランド形成は大切です。「毀誉は他人の主張、我に与からず我に関せずと存じ候」(勝安芳)という強い気持ちがないとできません

文責:清水 佑三

2004/01/07 173

年功を無視してよいのか?

年功という言葉が曲者だと思います。亀の甲より年の功、という諺には「長い間に身につけた豊富な経験や智恵は有用であり、尊重すべきである」という含意があります。問題は、勤続年数の長さと有用な智恵との関係性にあるとみます。それが保障されない限り、利益創出の義務をもつ会社が年功に対して冷たくなるのはむしろ当然だと思います。戦争を考えるとよくわかります。竹槍で戦っていたときの兵士の経験や智恵は、鉄砲が使われだした瞬間に無意味化します。竹槍戦の経験や智恵を多くもつ人ほど鉄砲戦への転用が難しくなるものです。さて、人間の話になると、風景は一変します。古代から人が人に対して抱く感情や気分のありようは変わっていません。年功有用論は、人をその気にさせるワザを競う「マネジメントの領域」において成り立つとみています。

文責:清水 佑三

2004/01/06 172

外国人雇用について。

少子高齢化による労働人口の減少と経済成長との両立は外国人雇用をおいて考えられません。ただ、労働査証の発給を受けて入国する正規外国人労働者の数は増えないでしょう。江戸時代からの鎖国政策は(人という面では)依然として継承されているとみています。その分、違法入国者が増え、治安が悪化しているのは衆知のとおりです。視点を変えてみましょう。中国等への工場移転問題はひとつの外国人雇用です。また、インド在住のインド人のプログラマーにプログラミング業務をネットを媒介にして委託する業務形態も外国人雇用の側面をもっています。査証取得の壁を回避し、かつ高い物価の日本に呼んで高い給与を支給しないで外国人雇用の利得を得る選択肢はどんどん増えていると思います。

文責:清水 佑三

2004/01/05 171

不審電話が多くて困る。

利益をあげて税金を払っている会社であれば、タックスペイヤーとして警察力を動員すべきです。税金を払っていないのに警察署をわずらわすのは、政治について考えたことがないのに、投票にゆくようなものです。あまりよろしくない。都心に会社を置くと、都心の警察は忙しくて構ってくれません。不審電話が多くてと訴えても、被害が出てからにしてくださいとケンモホロロの扱いを受けます。中野区のような山手線の外に会社の本店をおくと、そこはよくしたもので真剣にとりあってくれます。ここからは中野警察の人のアドバイスです。不審電話に対しては対応部署、対応する人を決める、必ず録音する。余計なことをいわないで相手に話をさせる。不当要求であればその場で断る。しつこい要求に対しては営業妨害だと強く出る、といったことを教えてくれます。対応する人を決めるところがが一番むずかしく大事です。私の会社では、曲がったことが嫌いでものをはっきりいえる頭のよい人を選んで対応をお願いしています。

文責:清水 佑三