人事部長からの質問

2004/02/09 195

人材開発で一番だいじなことは何か?

仕事だけが本当の意味で人をつくる、と私は思っています。それならOJTだけかというとそれもまた違うように思います。プロ野球の選手がシーズンオフに走りこみをやって「怪我に強い体」をつくる、は大切な視点です。また、古くは川上哲治、野村克也といった選手、監督が禅寺で修行した故事もまた大事だと思います。基礎体力、精神力、試合で育つ勝負カン、それらを貫く精神を何と呼ぶべきか私にはわかりませんが、英語の「ファイティング・スピリット」、福沢諭吉の「やせ我慢」のようなものが大事です。それを植え付けられる人をどれだけもてるかが企業間競争の帰趨を決める、と私はみています。

文責:清水 佑三

2004/02/06 194

どこの国がおもしろいですか?

スウェーデンです。なぜ、おもしろいかといえば、アングロサクソンのような小さな政府という考え方をとらず、むしろ大きな政府という考え方をとっていると思うからです。公務員、大企業(下請けを含む)従事者の比率の高い国という意味でも日本と共通するところがあります。それと企業管理職、聖職者、学校長、(予備役)将校といった職域にも組合があり、中央組織を作っていて政治に対して発言力をもっています。日本のサラリーマンは政治に対する発言力皆無です。高負担といいますが、国民は税金の一部が確実に自分に戻ってきている実感をもつ。スウェーデンは高コスト国ではない。日本は逆で低負担といいながら、税金が自分に戻ってきている実感がない。とられっぱなしで、進んで税金をたくさん払いたい人は極めて少ない。しかも異常な高コスト国です。企業が負担する電力料金を比較すると日本はバカ高く、スウェーデンは世界の主要工業国と比べて低い。一事が万事です。アストラゼネカ、エリクソン、ノキア、ボルボといった多国籍企業が本拠をおくのはわかる気がします。人口1千万に満たない小国ですが、よく勉強してみたい国ですね。

文責:清水 佑三

2004/02/05 193

テレビ電話(会議)導入にあたっての留意点は?

テレビ電話会議だから、という留意点はありません。なぜなら、テレビ電話というのはメディア(何かを運ぶもの)に対する呼称であり、単純に会議の一手段を指すからです。ただ、電話会議を毎日のようにしている経験から申し上げるのですが、室町時代の「寄り合い(惣)」のような自治的な会議の性格をこうした会議方式に期待するのは難しいとみます。自治的な会議とは、壁にぶつかった群れが壁を乗越えるために、参加者の知恵と勇気を引き出すための会議です。もともと自治の精神は、温泉が噴き出てくるようなもので、ラグビーの荒ぶる戦闘意欲のような「場の高揚」を条件とするからです。参加者の理解を揃えてゆくような目的の場合には、テレビ電話会議はコスト面でとても有効だと思います。社内の90%の会議はテレビ電話会議でやってよいとみています。

文責:清水 佑三

2004/02/04 192

賞与の評価に不満が多い。どうしたらよいか。

不満を発する人が誰か、が問題です。やめさせたくない人から順に不満が強い場合は、緊急に対応しないととんでもないことになります。その場合、評価制度をいじることよりも人の上においてはいけない人をそこにおいていないか点検すべきです。つぎに、やめてもらいたい人から順に不満が強い場合は、たいへんよいことであるとみてください。賞与はジェラシーの誘発装置です。誰のジェラシーを誘発するか、前もって決めておくことが大事です。

文責:清水 佑三

2004/02/03 191

うちでもメンタル疾患が多くなったが。

メンタル疾患というときに注意したいのは、フィジカル疾患における「風邪」の喩えです。湯冷めをすると風邪をひきます。それは疾患というよりも「免疫的な反応」であり、なおすもなおさないもない領域の問題です。安静にしていれば自然治癒します。同じことがメンタル疾患の90%について言えるとみています。いわゆるストレスによって引き起こされる「感情障害(うつ)」であり「神経障害(不安、怯え)」です。湯冷めをしただけなのですね。湯冷めさせない、湯冷めしない知恵と努力が、職場と本人の両方にあれば対処可能な問題です。要は配属、教育を含めたマネジメントの問題です。ところが、この分類に入らない10%程度の疾患はやっかいです。自傷、他傷という事件につながるからです。特にトラウマのようなメンタルな傷は目に見えないだけに被害の立証も難しくまことに厄介です。どうか自社のメンタル疾患を科学してください。後者が世間と比べて多いと判断された場合、人事部署の責任でその問題にメスを入れるべきです。(具体論はいつか本にします)。

文責:清水 佑三