人事部長からの質問

2004/03/09 215

横断的機能別組織がうまく機能しないが。

各部署の人からなるタスクフォースは(リーダー的な人が集まるので)うまくゆかないものです。チームタイプ論のベルビン博士がいうように「一つの組織に複数のひっぱり型リーダーがいると組織はうまく機能しない」のです。この幣を逃れるために、プロジェクトチームを編成する責任者が、ベルビンのチームビルディング要諦をよく勉強して、リーダー、参謀、広報、ナビゲータ、実務推進者…等のバランスを考慮することです。全社員の適性データをもつと有益なのはこういう場面だと思います。

文責:清水 佑三

2004/03/08 214

考課のフィードバック能力を(管理職に)つけさせたいが。

とても大事な問題意識です。管理職の役割を成果創出とメンバー強化の二つに分けてみた時に、前者において秀でると後者がおろそかになるからです。成果創出とメンバー強化を同時並行させてくれる管理職が(会社にとって)ありがたいのです。ところで、考課のフィードバック面談とメンバー強化は地下水脈のようなもので奥深くでつながっています。実は同じものだと考えられます。(管理職の)考課のフィードバック能力の強化を全社的に進めると、結果として全社員の強化に直結するのです。考課のフィードバック能力の育成法ですが、「観察」「記録」「分類」「評価」の四つの技術をマスターさせ、習慣化させることに尽きます。その上で判断の根拠を被評価者に戻すカウンセリング技法を習得させることです。

文責:清水 佑三

2004/03/05 213

性格の基本的なところは遺伝で決まるのか?

誰にとっても興味ある問題ですね。この問題の究明は、特定の特徴をもった集団に対象を絞って家系図とDNAを照合研究してゆくやりかたがとられています。その結果、人間の行動特徴を支配している遺伝子が少しづつ解読されていっています。もっともわかりやすい例をあげれば、南アフリカのフランシスコ・ロペラ博士は、若年性アルツハイマー病の発症者がコロンビアのある村に集中している事実に出会い、この病気とある遺伝子との関係性をつきとめる道を開きました。しかしその遺伝子をもっている人が発症するプロセスは依然として解明されていません。同じように多くの研究者の努力によって、行動と遺伝子との対応がとれてきたのが「不安タイプと冒険タイプ」の二つの性格です。

性格の基本的なところは遺伝で決まるとかりに解明されたとしても、so what(それが何なの)?と聞き返せるのが人の人たる所以だと思います。

文責:清水 佑三

2004/03/04 212

研修での講師の評判が外部、内部講師ともよくない。

そうでしょうね。そのことが何を意味するか立ち止まって考える必要があります。選手とコーチの関係になぞらえれば、選手の方が日々「難しいことをリスクを背負ってやっている」からではないでしょうか。日進月歩の技術革新や予測不可能な環境変化のもとで、選手は自分で考え行動変容させないと成果がでないのです。他方、コーチの方は「やさしいことをリスクなしにやっている」感があります。選手がコーチの仕事ぶりに対して不満をもつのは当然です。講師という立場、役割の限界性からくるものです。もう一つ、受講生の質にも注意が必要です。同じ映画館を出てきた人でもとても満足して帰る人と、つまらない映画だ金を返せと不機嫌な顔をして出てくる人がいます。物事を肯定する能力や風土のない人たちが充満している場所では誰が何をやっても批判されるものです。

文責:清水 佑三

2004/03/03 211

面接学のことを教えてほしい。

あるテーマ、問題意識のもとでなされた学問的な研究の集合を**学と呼びます。人間知の手段としてinter-viewはどのような特徴をもっているか、その有用性と限界は何か、が主要な(面接に対する)学問的な関心です。70年あまりの面接学の歴史が語ることを要約すれば、人がinter-viewを通して知ることができる範囲は極めて限られており、そこで得られる知識の有用性は、面接官個人の(面接に関する)適性と能力に依拠してしまうという簡明な事実です。まことにもって当たり前の話で、伝記作家が書く伝記のよしあしは、伝記作家個人に依拠しているといっているわけです。面接学はまた面接で本当に見れる能力があるとすれば「コミュニケーション能力」だけである、ともいっています。

文責:清水 佑三