人事部長からの質問

2004/03/23 225

強くてやさしい会社文化のつくりかたを。

色男、金と力はなかりけり、という古川柳があります。女性にもてる男を妬んでいる感じがありますね。ここでいう色男は女性に好かれる美形の男ですが、じつは人にもてる要素、要因は美形だけではなく、やさしさと残酷さを同時に秘めていることです。ヴィッセル神戸の新戦力、前トルコ代表のスター、イルハン・マンスズ(28)などがそのイメージです。前回のワールドカップ大会のときに、テレビに映る彼をみていてその感を深めました。強くてやさしい会社文化をつくる要諦は、イルハンのような人をトップにもってくることに尽きます。同質性の再生産といいますが、そういう人は類は友を呼び、次第次第にトップの人格と同じタイプの社風がつくられてゆきます。

文責:清水 佑三

2004/03/22 224

週刊文春の販売差し止め仮処分について。

東京地裁(大橋寛明裁判長)は3月19日、文藝春秋側から出された異議を斥け、先に東京地裁が行った出版差し止めの仮処分決定を妥当だと判断しました。判断のポイントは、名誉毀損とプライバシー侵害は本質が異なり、名誉毀損は謝罪等で回復を図ることができるがプライバシーはいったん広く知られると回復は困難であり、(出版物の)事前差し止めが意味をもつとした点です。また「田中真紀子氏は公人であるが、長女は政治と無縁の場所で生きており、彼女の私事は公共の利害に関する事項ではない」との指摘が目をひきます。仮に、彼女が田中真紀子氏の選挙運動の中心人物だった場合、この判断はできないという含意があります。バランスのとれた常識に近い判断である、と私は思います。

文責:清水 佑三

2004/03/19 223

昆虫の変態にあたるものは人にもあるのか?

蛙や昆虫が卵から孵化した後、成体になるまでに、何度か自分の姿、形を変える不思議を「変態」と呼びますが、変態性欲者についてもまったく同じ言葉を使うので、ご質問をみたときに一瞬どきっとしました。それはさておいて、人において昆虫の脱皮のような変態があるか、ですが私は「精神」において顕著にそういう現象があると思っています。観察対象はもっぱら自分自身ですが、孔子のいう志学、弱冠、而立、不惑、知命、耳順、従心ほどではないですが、幾たびか「何かがふっきれたような思い」をしてきました。したがって、人を変態しないもの、としてみるよりは、三日会わずんば剥目して見るべし、の古言を信用したほうがよい、という意見です。

文責:清水 佑三

2004/03/18 222

部署別にプライバシーマークをはりたい。

Yahoo!BBとジャパネットたかたで起こった事件は、人事部長に限らず、職責として個人情報を扱う人たちの心胆をして寒からしむるに十分な規模と内容がありました。明日はわが身、と思わない人がいたらよほど鈍感に生まれついた人です。また、モデム販売を従前どおり積極的に続けるYahooに対し、沈痛な表情で販売自粛宣言を行った高田社長の行動も目をひきました。インターネット文明は2ちゃんねる書き込み社会をつくりだし、個人情報ファイルを闇で売買する膨大な新市場をつくりだした、とみるべきです。ご指摘の案はとても具体的でよい案だとは思いますが、一方で会社活動をとおして反会社の「潜在テロリスト」をつくらない、という視点も大事です。

文責:清水 佑三

2004/03/17 221

アテネ五輪マラソンの女子代表選手の選考についてどう思うか。

シドニー五輪で(日本陸上競技史上)燦然と輝く金字塔を打ち立てた高橋尚子さんについて、日本陸連はシドニー直後に「次回予選免除」を決定しておくべきだったと思います。今回の選考漏れは、3大会連続でおいしい場所に立ちつづけてきた小出監督への強烈なジェラシーの鬱積が(選考委員の)背後にあったとみています。選考に関与した陸連幹部10人のうち、小掛昭二副会長だけが高橋尚子を推し、残り9人が全員(高橋を送ることに)反対だったといいます。強烈な反小出感情が充満していたということでしょう。合理的な議論をすれば半々くらいの割合になってしかるべきです。以上が感想です。

文責:清水 佑三