人事部長からの質問

2004/04/20 245

人を育てるのが苦手なマネジャーが多い気がする…

人材育成という言葉を安易に使いすぎる、と思っています。自分の子供でさえままならないのに、人の子を思うように(育成)できるでしょうか。そんなことはできっこないのです。もともと育成といった言葉は「まやかし」を含んでいます。ある時期に身長がどんどん伸びてゆくようには大人は天然自然に育ってゆかないものです。自分が好きなことを好きなようにやってよりよい処遇を求める、が人の人たる所以です。それをさせないで、会社が好きなことを会社が好きなようにやってほどほどに(そこにいる人を)処遇する、が会社の会社たる所以です。その間の違いがわかってくると、うちのマネジャーは人の育成が下手だ、というような言い方は自然にしなくなるものです。

文責:清水 佑三

2004/04/19 244

成果主義にかわるもののイメージは?

「成事主義」を提唱したいですね。「事を成す」と「果を成す」は言葉はよく似ていますが本質が違います。一流のスポーツ選手は果を成す(結果)よりも、「自分のプレーをする(プロセス)」にこだわります。平成の名力士であった貴乃花がいつも口にしていたのは「自分の相撲をとることだけです」でした。相撲に限りません。一流のスポーツ選手が異口同音にいうことです。自分の心と体が自分のものでありながらいうことを聞いてくれない、その自分との戦いに勝つ、が「自分のプレーをする」意味です。かかるこだわりを「成事主義」と呼びたいのです。観客やファンをうならせる「よいプレーをしつづけるチーム」が成事主義の究極のイメージです。

文責:清水 佑三

2004/04/16 243

企業年金問題の核心は何か?

生涯雇用風土の崩壊、給付原資の枯渇化の二つがこの問題をわかりにくくしている元凶です。二つの要因は奥深くでつながっており、つまりは「貧すれば鈍する」と総括できます。仕事に生涯を託そうとする人に対して会社が受けてたち、定年後に手厚い老後保障をする、は企業のステータスであり、個人と組織の間の黙契でした。それを会社都合で一方的に破棄したのが高年齢者層へのリストラと企業年金の一方的な廃止です。それもこれも給付原資が枯渇して背に腹は変えられなくなったからです。「人に対して優しい会社」は従業員を裏切らない会社の別称です。そのための方法は売上高経常利益率30%以上を実現する、です。

文責:清水 佑三

2004/04/15 242

イラクの人質事件から学ぶことは?

人質となったご家族の人たちの言動を北朝鮮拉致被害者のご家族の人たちの言動と比べることでたくさんのことを学べると思います。私はテレビの音を消して姿、形を眺めて比較しています。どちらの挙措振る舞いがより自分にとって好ましく映るかだけを注意して眺めるのです。間違いなく、たとえば横田めぐみさんのご両親の姿、形のほうが好ましく映ります。それが何ゆえかを考えつづけることが(本当の意味での)勉強であります。教育学の村井実先生は『人間の権利』というご本の中で「権利を声高に主張すればするほど周囲の人はしらける」という意味のことを書いています。痛い、痛い、と泣いていると周囲の人は、本当の傷に気がついてくれるというのです。自衛隊の撤退を人質家族が主張すればするほど、犯人たちと同じことを言っているなあとなります。ヘンですよね。

文責:清水 佑三

2004/04/14 241

人事部長の仕事で何が一番大事か?

どういう組織もそうですが、上から順に10人が大事です。その人たちがしっかりしていれば、組織は(難局の連続場面を)凌いでやってゆけます。また、彼らがヘンなのを登用しない効用があります。組織全体が(自然に)しっかりしてくるものです。ところで、しっかりしているという言葉の意味ですが、(1)世間からみてカッコヨイ、(2)リスクテークをする、(3)組織を私物化しない、などが思い浮かびます。いずれもとても大事で難しいことです。人事部長の仕事は、人の処遇のありかたに基準を設けて、(1)〜(3)基準を満たさない人が上に来ない仕組みをつくり厳正に運用することだと思います。10年たつと効果が出始めます。

文責:清水 佑三