人事部長からの質問

2004/04/27 250

新卒採用で学歴をどう扱ったらいいのか?

繰り返しこの欄で申し上げていますが、「学歴」は重要です。何故なら、それが明確な課題達成行動だからです。中、高、大、院の選択場面において、何故、何を、どうしたのか、を詳しく聞くことでその人の問題意識、思考力、行動力がよく見てとれます。いずれにも○をつけたくなる人は、仕事でも期待できます。こうした(評価上の)宝の山を「機会均等」という呪縛で無視するのは、ひとつの「バカの壁」事例かもしれません。入社後に学歴を既得権とみない、学歴別キャリアパスを用意しない、は公序良俗だけでなく損得からいってもナンセンスであり、それとこれとは次元の異なる問題であります。

文責:清水 佑三

2004/04/26 249

役割分担に不平・不満がでる。対処法を。

昨今の読売ジャイアンツの戦いぶりに「監督のキャスティングへの迷い」が指摘できます。一例をあげれば高橋由伸選手の打順です。4番として育てるとキャンプ中からいい続けてきて、開幕後わずか十数試合の結果で、6番に落としました。スポーツマスコミが(その見識のなさを)叩くと、翌日また4番に戻しました。一事が万事で清原、ペタジーニの使い方、投手起用にも同じような出たり入ったりの揺らぎが見られます。昨年の星野タイガースには(この手の現象は)見られませんでした。ご質問の対処法を一言でいうならば「試合に勝ち続けること」であります。

文責:清水 佑三

2004/04/23 248

意志と意欲の違いを教えてほしい。

よいご質問だと思います。意志は精神に関係し(死後も)悠久であります。意欲は情動に関係し、(時々の)状況の函数です。精神は英語のspiritに通じます。「大和だましい」「大和ごころ」は精神について言われた言葉です。宣長の、「敷島のやまとごころを人問はば 朝日ににほふ山桜花」は日本に棲む人びとの精神の美を謳った歌で、情動とは関係がありません。意欲は英語のhighly motivatedに通じます。車でいえばエンジンが全開になってスピードを出している状態です。ギアをそのように入れられれば誰でもそうなります。ところで動物は意欲をもちますが、意志はもたないと考えられます。

文責:清水 佑三

2004/04/22 247

間接部門の賞与のきめかたで悩む。

当該期の全社平均をもって管理部門の(賞与)評価とする、という考え方をとる会社が多いようです。というより、現実的にそれしかないのだと思います。しかし、知恵のない話です。私は間接部門についてはレビュー主義を推奨し自社でも実行しています。レビュー主義は、目標達成度を問題にするのではなく、目標になぜ届かなかったかについて分析の仕方に注目します。間接部門は分析部門といってもよいからです。事実ベース、合理的推論、大胆な仮説、抵抗勢力との血みどろの戦い、といった思考と行動がレビューから浮かびあがってきたら「○」です。そうでない場合は「×」です。直接部門と比較して客観的なデータで弱いところがあるので、(間接部門の)評価格差は小さくするべきです。

文責:清水 佑三

2004/04/21 246

「戦略センス」を磨きたいが…

好き嫌いは別にして、私はキム・ジョンイル(金正日)氏は戦略センスがあるといつも思っています。独裁者は歴史上、たくさん現れていますが、この人ほど権力維持の日数が長く、かつやることなすことが「戦略的だ」と思う人を知りません。最近の6ヶ国協議についていえば、ロシア、中国、韓国の力を借りて、アメリカ、日本を牽制する手腕はハンパではないと思います。複雑な事象を複雑な事象として捉えて、虚実をないまぜにして一定の思惑で全体に影響力を行使できるのは「戦略センス」があるからです。よほどの修羅場をかいくぐって生きてきたのでしょう。さて、ご質問の「戦略センス」の磨き方ですが、一にもニにも修羅場に立つことです。生きて帰ることができたら、間違いなく「戦略センス」が磨かれているでしょう。平時においては育たない能力です。

文責:清水 佑三