人事部長からの質問

2004/05/10 255

兼務人事が増えています。よくないか?

閣僚人事をみていると、竹中平蔵氏をはじめ兼務人事が目立ちます。一方で、(自民党などの)党役員人事をみると必ずしもそういう印象を受けません。この違いが何によるかです。私見ですが、行政トップ(省庁大臣)の仕事は、船が進むべき方向を示す羅針盤であって、実務的な要素がほとんどないのだと思います。官房がしっかりしていれば、「万事よしなに官房殿」としゃれ込むことができます。ところが、国会対策委員長職ひとつとってみればよくわかりますが、党の役職は「泥をかぶる」「身を挺する」「腹をつきあわせる」「足して2で割る」といった属人性の強い仕事です。ご指摘のように兼務人事が増えている、は官房がしっかり育っている、という前提条件が満たされれば結構なことだと思います。

文責:清水 佑三

2004/05/07 254

人事部長がもつべき資質要件は?

人事部長に限らず、高位要職にある人がもつべき能力は「政治力」です。また人物識見という角度でいえば「人徳」です。この二つがあれば鬼に金棒、今のジャイアンツ打線に大魔神、佐々木主浩を加えたようなものです。ところで「政治力」の定義ですが、思惑どおりに物事を進めてゆく手腕といい切ってもよいでしょう。読売新聞のナベツネ、サッカー協会の川淵キャプテンがもっているものです。二人とも、いわゆる「ジュニア」ではなく個人の力量、手腕によって今の地位、権勢を確立しています。「人徳」の方ですが、私は、棺を蓋いた後の(その人の)お通夜にかけつける人の数をもって定義できるとみています。死なないと測れません。三回忌(に来る人の数)となるともっと露骨に人徳差があらわれます。

文責:清水 佑三

2004/05/06 253

質問したら翌日載った。いつ(回答を)書くのか?

時事ネタの場合、必ず質問を頂戴したその日に回答を書くようにしています。犬の調教と同じで、そのように自分をしつけています。時事ネタ以外については、その限りではありません。また、調べないと書けないテーマについては、多少の日数を頂いて調べて書くようにしています。調べるといっても、「Google」を動かして関連情報を目の前に並べるだけです。ついでにいえば、もの書きにとって「Google」ほどありがたいものは他にありません。ほんとに重宝しています。インターネット文明の「光と闇」の「光」の部分ですね。メールで、そのつど面白いと伝えてくださる方もおられます。それも「光」ですね。嬉しいものです。

文責:清水 佑三

2004/04/30 252

日米の野球の一番の違いは?

私は主審のボール、ストライクの判定力に大きな違いがある、とみています。メジャーリーグの試合をテレビ観戦していて、捕手が審判に対して「?」という表情をする場面が、日本と比べて極端に少ないことと、テレビ画面を通して見る限り、同じ位置に投げられるボールに対する判定が、(どの審判をとっても)試合中、大きくぶれない、の2点に気づくのです。(米において)捕手が審判のボール、ストライクの判定を信頼している感じがします。ところが、日本だと某監督ではないですが、「どうしておまえらはまじめに仕事をせんのや、野球をつまらなくするためにやってるんか、どあほ」と凄みたくなるほど、審判のボール、ストライク判定は概して不安定です。この問題をつきつめてゆくと怖いものがあります。日本の企業戦士がしらける原因のひとつに「(管理職の)ボール、ストライクの判定がいいかげん」が潜んでいるかもしれないのです。

文責:清水 佑三

2004/04/28 251

「改革」って何なのですか?

広辞苑には、「改めかえること」「改まりかわること」とあって「機構改革」が用例としてあげられています。「変革」をひくと、「変えあらためること」とあって「意識の変革」が用例としてあげられています。「改革」と「変革」はほとんど同義だということがよくわかります。芝居でいえば、幕や場を変えることを指す言葉です。それが吉と出るか凶とでるかはやってみないとわかりません。私は「改革」よりも「進化」という言葉に興味をもっています。「進化」については、生物学の概念として断った上で、「生物が世代を経るにつれて次第に種の数を増やし複雑化、多様化してゆくこと」と(広辞苑)説明しています。会社における諸制度は、単に改め変えることが大事なのではなく、複雑化、多様化させて、従来の制度がカバーできなかったニッチ(隙間)を埋めてゆくことが大切なのではないか、と考えます。根幹の制度を変えて、創業の精神を棄てるのであれば、会社を売るべきだと考えます。

文責:清水 佑三