人事部長からの質問

2007/11/05 1112

清水さんはどのようにして「問題解決力」を身に付けたのですか?

私が「問題解決力」をもっているという見方をされているようですが、私はまったくそう思っていません。むしろ、その正反対の人という自己概念をもっています。ところで、「問題解決力」ですが、私のその言葉に対する理解は単純で、子どもの使いのようなことが皆無である人です。必殺仕掛人といえる人ですね。目的をもって赴くところ、可ならざるはなし、という人です。歴史小説を読む限り、果し合いにおける宮本武蔵、天下とりにおける織田信長はそういう人だったと思います。二人に共通しているのは、命がけの修羅場に自ら進んで身を置くような習性です。それが彼らの「必殺仕掛人」としてのレベルをあげていったのではないか。

文責:清水 佑三

2007/11/02 1111

事業部ごとに違いがありコンピテンシー概念の導入に二の足を踏んでしまう。

「当社の場合、業種分類では非鉄に入りますが、電線・自動車用ワイヤハーネス、光ファイバーなど多様な事業を行っています。現場の雰囲気も事業部ごとに全く違います。こういう企業においても、コンピテンシーモデルは必要だと思いますか?」…誤解がある、と感じました。スポーツを例にとれば、実にたくさんのスポーツ種目があります。にもかかわらず、スポーツ選手に必要な資質を3つあげよといわれれば、筋力、動体視力、敏捷性などをあげることができます。この必須資質にあたるものがコンピテンシーです。自社に固有の必須資質を求めることは事業部の数と関係なく、一定の手順で可能だとみます。

文責:清水 佑三

2007/11/01 1110

最近、経験された心の温まる話があればお聞かせください。

私はよく新宿の伊勢丹七階にある、“チャヤ”というレストランにゆくのですが、そこのスタッフの方が、レジでお金を払っているときに、私は来月から“チャヤ”の横浜店に異動でうつります。お仕事で横浜に来られるようなときは覗いてください、と話されました。それまで口をきいたことのないのに、突然言われたのでとても驚きました。ただ、いつも笑顔がよいので感心していた人です。一ヶ月後に横浜に行く用事があり、“チャヤ”の横浜店に行ったら、その方がとても喜んでくれて、帰り際に、お店で売っているクッキーを持たせてくれました。会話をしたことがない人どうしでも気持ちの交流ってあるんだ、と思って嬉しくなりました。

文責:清水 佑三

2007/10/31 1109

清水社長の早慶観をききたい。

社会に出て出版社に入り、早稲田大学卒業生の言動にほんとうに驚いた記憶があります。出版社に入りたいという層だったからかもしれません。漫才の突っ込みのようにずかずかと人の心の中にはいってきて傍若無人の言動をとるのです。私は中学のときから12年間、慶應義塾にお世話になってきて、その反対の教育を受けてきたので余計に驚きました。別な話ですが、学校への愛着の度合いは、慶應のほうが早稲田を上回っていると思います。慶應の卒業生は学校からの寄付要請に対してハーバードまではいきませんが、それに近い態度をとります。早稲田の卒業生はそうではないですね。卒業生どうしの意思疎通という意味でも慶應のほうが早稲田よりも密な気がします。総じて早稲田よりも慶應のほうが「学校」らしいと思います。

文責:清水 佑三

2007/10/30 1108

今まで、一番「カチン」ときた社員ってどういう人ですか?

カチンときた社員はいません。すべての人は、その人の置かれた環境やその人の資質や歴史のようなものを考えるとよくわかる言動をとっていると思うのです。たとえば、こちらが後ろ足で砂をひっかけられたと思うような場面が仮にあったとしても、ことによるとその思いは、自分よりも相手に強くあったのでは、と考えてしまうのです。ですから、入社式で入ってくる人たちに挨拶するときも、心ならずも辞めていったたくさんの過去の社員がその場にいると思って、彼らの努力で今があると思い思いして挨拶をしています。新入社員ではなく、その人たちの方を心が向いているのですね。さぞかしカチンとさせてしまったのだろうなあ、そういうことがないようにしたいなあと思うのです。

文責:清水 佑三