人事部長からの質問

2004/06/07 275

花火をあげないと評価できない管理職は愚かだと思うのだが。

ご指摘のとおりですね。そういう直属の管理職を戴いている場合、その上の管理職の方とパイプをつくってよく話し合われるとよいでしょう。話し合う機会がつくれないか、または、まったく同じような愚かさを感じる場合は、今いる場所においては「よい評価」を期待しないで、仕事そのもののレベルアップに励むことをお勧めします。同時に、成果を発表する努力をされるべきです。かりにですが、世界的な視点にたったときによい仕事をされているとすれば、徳は孤ならず、で必ず遠いところから目をつけてくれる人がでてきます。ノーベル賞の栄誉に輝いた田中耕一さんがその典型でしょうか。同期の人よりも出世が遅かったそうですので、社内の人事考課は必ずしもよくなかったのではないかと思うのです。愚かな人には「無関心」という鉄槌をくだすべきです。

文責:清水 佑三

2004/06/04 274

休暇の取らせ方で一部の社員から不平が出ているが。

休暇をとる、という問題は多くの人にとって「人生の一大事」であって、そのことで不満が生じると長くしこりを残すものです。会社として、たかが休暇という考え方を絶対にとらないでほしいと思います。(会社づとめをする人にとって)土日と休暇こそが人生なのです。ご指摘の問題ですが、部署間での甘辛差もありえますし、同じ部署内での対個人に対しての甘辛差も考えられます。いずれにしろ好ましくないのは同じです。どうしてこうした甘辛差がおきるかですが、前者の場合は、組織体質(悪しき習慣)、後者の場合は管理者のパーソナリティ(価値観、知能、性格)に起因するといってよいと思います。さて、じゃあどうするか、ですが、私は享保の昔に徳川吉宗が庶民の不満を知るために設けた直訴箱(目安箱)制度を使うとよいと思います。匿名で、掲示板に不平不満を書いてもらい、会社がその訴えの内容を吟味し、会社としての考えを伝えます。原告に非がある場合、被告に非がある場合があり、その判断を明確に下すのです。こうした具体的な事例が幾度となく公開されれば、今よりは甘辛差は減ってゆくと考えます。

文責:清水 佑三

2004/06/03 273

同族会社の功罪について教えてください。

今、一番元気がいい地域は、日本中を眺め渡して、中京経済圏だそうです。その代表格がトヨタさんです。ある人が、元気のいい中京圏の会社名を羅列し、それらの会社の共通項をあげておられました。うろ覚えなので恐縮ですが、最初に同族会社である、というのがありました。そのほか、終身雇用制度を維持している、コンサルタントなるものを信用しない、欧米流の経営手法を採用しない、などがあったかと思います。同族会社が共通項の筆頭にくるところがおもしろいですね。資本と経営の非分離は(逆境に)強いのだと思います。それが功でしょうか。罪のほうですが、国家公務員のキャリア組の存在と同じで、平家にあらずんば人にあらずになると、俊秀は意欲を失うと思います。

文責:清水 佑三

2004/06/02 272

同期のライバル意識が強すぎて職場がギスギスしているが。

同期生間の競争意識を媒介にして職場活性をはかってきたのが、日本企業の特徴のひとつです。その典型が中央省庁におけるキャリア組といわれる人たちの出世競争です。花の**年組とよばれるグループが世代間競争を勝ち抜いた結果として生まれ、その中でさらにAさん、Bさんが凌ぎを削って、事務次官の椅子を目指して競争します。Aさん、Bさんをピラミッドの頂点にする二つの派閥が猛烈な政策論争を行うのです。よりよい政策立案に向けて両方のグループは目の色を変えてがんばります。結果としてあの時代の**省は元気だったといわれるのです。仲良しクラブの一家団欒からは群雄割拠の図は生まれません。同期が仲良しすぎて職場が仲良しクラブになっている状態を考えて、それよりは(現状のほうが)よい、と積極的、肯定的に考えるべきです。

文責:清水 佑三

2004/06/01 271

「コンピテンシー」を評価制度にからめたい。

野球に喩えましょう。松井稼頭央は、ライオンズ在籍時代、盗塁数30、打率3割、本塁打数30を達成し、「All 3」クラブに入会し年俸を大幅に上げることに成功しました。こういうふうに、目に見える成果を基準にして処遇に連動させるのが成果主義的評価制度です。明快な結果論の立場をとるので、矛盾は少なく、出来上がった選手の評価には最適です。しかし、二軍選手のプレーのレベルをあげてゆくための具体的な手がかりはこの制度からは出てきません。盗塁、打率、本塁打につながる測定可能な要素をつきとめ、それをもって二軍選手を評価するとします。将来の松井稼頭央への近さを一定程度予測できます。どの要素を強化すべきかも明瞭になります。このやりかたがコンピテンシー評価制度です。権限委譲したのちの結果を問題すべき経営・管理層には成果主義的評価制度を、将来の経営・管理層をつくってゆく目的にはコンピテンシー評価制度を使うとよい、が私の考えです。

文責:清水 佑三