人事部長からの質問

2004/06/14 280

SE出身の営業マンの活躍が目立つ。SE→営業という育成経路はいいと思うか。

SE→営業という育成経路のほうが、営業→営業よりもよい、と考えます。理系の教育を受けた人が技官の道を選ばず、事務官の道を選んだほうが、文系の教育を受けた人が事務官になるよりもよい、というのとよく似ています。その理由は「矛盾感受性」といわれる認知能力差にあると私はみています。自分の経験で申し上げれば、学部、修士時代に数式を矛盾なく展開させる修行をやったおかげで、自分の中の「矛盾感受性」をそれなりに育てることができたと感じています。(「矛盾感受性」とは次元の違うものを一緒くたにして強引な結論を導く人を嫌悪する度合いのことをいいます。文系出身でエネルギーの強い人に多く見られます。)同じようにSEというお仕事は複雑な仕事の中に潜む法則性を発見し、データ処理システムとしてくみ上げる能力を磨きます。論理性が磨かれるのです。がんばりだけで勝負する営業→営業組よりも(論理性をもったほうが)強いと思うのですね。

文責:清水 佑三

2004/06/11 279

部下を使い棄てる管理職が多い気がする…

評価制度の問題だと思います。部下を使い捨てた方が得ならば、そうするのが人の本性の一面です。それをうまくやる度合いは人によって違います。モラルサーベイ(自由記述)で名指しされてしまう管理職は、演技が下手な人です。上手な人は、使い棄てられた部下から感謝メールを貰いながら、(使い捨てつつ)出世階段を上ってゆきます。逆に、部下を使い捨てると損してしまうことが明瞭であればそういう行動は(会社全体として)減ってゆくものです。以上は評価制度の目的や存在理由そのものにかかわる建前の話です。ただ、気をつけないといけないのは、(公序良俗の観点で)使い棄てるべき人を上手に使い棄てるのは、背任の反対で管理職の鑑(カガミ)的行動であります。

文責:清水 佑三

2004/06/10 278

社長を辞めたくなったことはありますか?

ありません。ひきずりおろされるまで社長を続けようと思っています。というのはウソで、よく思いますね。辞めたくならない社長はいないのではないでしょうか。辞めたいと思ったことのない社員はいるのだろうか、というのと同じ感じです。どういうときに社長を辞めたくなるかというと、「笛吹けど踊らず」と痛感するときでしょうか。特に、信頼している人が、まったく期待と反対の行動をとられると自分の影響力のなさを痛感してしまうのです。笛を吹いても踊らないのは、笛のつたなさのゆえなのですが、決してそう考えないのが人の人たる所以です。どうしてこんなに言っているのに、と思ってしまうのです。こういう幻滅を続けるのはシンドイと思ってしまうのですね。意欲がなくなってしまうのです。元気が横溢している人なら、もっと笛を吹けばいやでも踊りだす、もっと笛を吹こう、と考えるのだと思います。

文責:清水 佑三

2004/06/09 277

社内サーベイの結果をどう政策立案につなげるのか。

逆だと思います。政策リストが先に用意されているべきです。為政者の義務としてまずビジョン、政策リストありきなのです。次に、受益者の期待リストがきます。国家に対して国民が何を望むか、という問題です。核ミサイルが飛んでこないようにしてくれ、飛んできても落とせるようにしてくれ、が今の日本国民の期待リストの筆頭ではないでしょうか。そんな感じです。社内サーベイは受益者の期待リストそのものです。施策の実行順序を決めるときにこれを参考にします。もし、政策リストと期待リストがうまく整合するとします。受益者(社員)は為政者(経営者)に対して強い信頼感を持ちます。為政を私物化していないことを実感するのです。ここから忠誠心と呼ばれる心理が萌(きざ)しはじめるのだと思います。社内サーベイの結果が(社員からみて)まったく活用されていない、は最悪であり、そんなサーベイはやめるべきです。

文責:清水 佑三

2004/06/08 276

賞与がほとんど出せない。優秀な社員のモチベーションが心配だ。

賞与を人なみに出していても優秀な社員のモチベーションは心配なものです。もっと過激な表現をとれば、優秀な社員ほど(いつも)やめたがっていると思ってよろしい。それが人の世の習いなのです。それはともかく、(賞与を出せない業績下での)優秀な社員のモチベーション維持策ですが、おいしい仕事をこれでもかこれでもか、と与え続けることです。おいしい仕事とは、その人が身につけたいと考えている能力が確実に身につくような仕事という意味です。会社が個人に与えることができるものは金だけではないからです。実行する場合、人によって食べ物の好みがあるように仕事能力の好みがあり、おいしさはバラバラなものなので、その人にとってという視点を忘れないことが大事です。影響力のある地位順にチェックをしていってください。もっとも影響力のある地位にある優秀者のモチベーション維持策が最優先されます。もしそれに失敗すると会社全体が「俺たちに明日はない」になってしまいます。

文責:清水 佑三