人事部長からの質問

2004/06/28 290

同期入社の年収格差についてヒントを。

入社してからの経過年数によって大きく異なると思います。たとえば生え抜きの社長を戴く場合、社長と同期入社の人の年収を考えてみればわかります。大企業の場合、(年収比)10倍といっても驚かないでしょう。今度は短大卒3年経過といった人たちを考えてみましょう。0.1倍の年収格差でさえ、つけられるかどうかわかりません。仕事の自己完結性が高く、しかも会社への貢献度の個人差が極めて大きい場合、プロ野球の選手のように年俸が入社年次に関係なく決められてしかるべきです。たとえば為替のディーリング業務のような仕事です。年収格差をつけても誰からも文句が出ません。ところが、プロジェクトを組んで若い人が大勢でやるような仕事の場合、構成員に年収格差をつければつけるほどプロジェクトチームの雰囲気は悪くなります。それやこれやを勘案すると、為替のディーリングのようなタイプの仕事でない限り、若い層にはあまり大きな年収格差はつけないほうがよい、が私の意見です。年収の高い層についてはこの限りではありません。

文責:清水 佑三

2004/06/25 289

人材マネジメントがうまい会社は?

結果論でしかいえない、が私の正直な感想です。星野仙一氏は昨年、万年最下位のようなイメージのあった阪神タイガースにリーグ優勝をもたらしました。人材マネジメントが優れていなかったら絶対にありえなかったと考えます。今岡誠選手の活用などが代表的事例です。彼は前監督とソリがあわず、二軍で腐っていました。岡田彰布現タイガース監督が二軍監督だった当時、おい、今岡、腐ったら絶対にあかんよ、とよく食事に誘って励ましていたそうです。今岡だけではなく、井川、藪、金本、浜中、赤星、藤本、片岡、下柳、ムーア、伊良部、矢野、ウィリアムズなどなど、実にうまく使っていました。しかし、それもこれも結果論であります。トヨタ、キヤノン、リコーみなしかりです。人材マネジメントがうまいから勝組になったのではなく、勝組に入ったがゆえに、その方法がよいといわれるのだと思います。

文責:清水 佑三

2004/06/24 288

女性管理職を増やせという経営方針がでたが…

管理職の定義を変えないと難しいと思います。社会通念としての管理職は、部下の業務を「適法適正に」導くべく「管理をする」人です。その適法適正の判断、管理というところで性差が関係してしまうのです。男性(性)は、物事を抽象的、概念的に捉えることに特徴があり、社会正義というような言葉にもためらいはないし、適法適正の判断にもためらいがありません。また管理のような権力行使がとても好きなのです。一方、女性(性)は、物事を現実的、実際的に捉えることに特徴があり、ある具体的なものの損得については鋭敏な感受性が働きますが、抽象化された正邪の議論にはパッションがわかないのです。人をお世話することは好きだけど、管理するようなことはいや、が女性(性)のひとつの特徴です。ある仕事についてきわめて精通した(部下をもたない)グループに対しても管理職という職名をつけてよいのであれば、対応はできると思うのですが。

文責:清水 佑三

2004/06/23 287

企業内の年齢別成長曲線のようなものを知りたい。

成長の里程標のようなものが必要でしょう。企業人を前提に考えた場合、三つくらいの里程があるとみています。ひとつは、「一人前」という里程です。野球でいえば、正選手となって常時出場するレベルです。確かな力量が前提となります。二つ目は、「中核」という里程です。部署の代表として社内会議に出てはっきりとものが言えるレベルです。他部署から一目おかれる威圧感が備わらないとダメです。最後は「賢人」という里程です。その人の知恵を頼りにしていろいろなところからお呼びがかかるレベルです。経営が事あるごとに頼る人、マスコミ・業界紙(誌)などが取材を申し込んでくるのはこのレベルの人です。それぞれの里程別年齢ですが、「一人前」は30歳、「中核」は35歳、「賢人」は40歳だとみています。

文責:清水 佑三

2004/06/22 286

企業内起業家を作るためのいい方法がありますか?

勧奨退職制度というのがあります。魅力ある条件を出して希望退職者をでやすくするのがコツです。企業規模の縮小を図るときとか、新陳代謝を促すときとかによく用いられます。条件がよいと優秀な人も非優秀な人もこぞって応募します。会社の未来を薄く儚くしてゆくような効用があると思います。逆に会社の未来を明るくし、高揚させるのがご指摘の企業内起業家育成制度でしょう。魅力ある条件を出せば出すほど応募者が増えます。提案者を会社として支援するかどうかの判定が大事です。ベンチャーキャピタルに審査委託をすればよいと思います。彼らは、ダメな起業家を飽きるほど見てきているので「×」の判定力があります。この制度による成功者が億万長者になれば後に続く人がどんどん出てきます。

文責:清水 佑三