人事部長からの質問

2004/07/05 295

コンプライアンスを強調したら元気がなくなった。

おもしろいご指摘ですね。そういうものだと思います。刑務所的、生徒手帳社会と自由奔放、自由闊達なやんちゃ社会を比較してみるとよいです。どちらが人類にとって有益な所産を残すか、答えは明瞭です。自由奔放、自由闊達なやんちゃ社会です。そういう社会から次々と新しい思想と行動が生まれる可能性が高い。江戸時代でいえば、元禄のころです。司馬遼太郎さんがNHK番組『(雑談「昭和」への道)江戸日本の多様さ』で話しておられたのを記憶していますが、元禄期は日本史に燦然と輝く知的生産の時代だそうです。その背後に自由闊達をよしとした非コンプライアンス社会があったと私はみます。健全な知性と余裕があれば、高速道路の車は一定のスピードで流れるものです。血液の流れとまったく同じです。制限速度を人為的に決めて強要すると、人は自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分の責任で行動することをしなくなってしまうのです。

文責:清水 佑三

2004/07/02 294

回答者の前提に「強い組織、強い人」がある。その前提でよいのか?

ありがたい指摘です。回答を書きながら、いつも、「ご指摘のような目」があることを感じていました。「強い組織、強い人」をよしとする前提は明らかに間違っていると思います。私自身、スローライフを自分の生活では心がけていますので、言っていることとやっていることが乖離しておりました。今後、自分がやっていることにそって回答してゆきます。思い切ったご叱正、本当に痛み入ります。感謝いたします。

文責:清水 佑三

2004/07/01 293

人事戦略で一番大事なことは?

戦略という言葉は、英語のstrategyの訳語です。strategyを英英辞書で引くと、a plan that is intended to achieve a particular purposeと出てきます。ある目的を達成するために編み出されたワナ、仕掛けが戦略の意味あいです。リソースが金銭である場合、財務戦略になり、人的資源の場合、人事戦略となります。以上のことを頭において、「人事戦略の要諦」を考えれば、(1)目的を鮮明にする(2)ワナ・仕掛けに工夫を凝らす(3)結果として目的を達成する、だと考えます。ワナ・仕掛けが有効であればあるほど、戦略立案の当事者は(大事な部分を)秘匿するゆえ、人事戦略なるものは新聞や雑誌には登場しないものです。

文責:清水 佑三

2004/06/30 292

社員をどなりつける役員がいる。どういう了見なのか?

どういう了見なのか、私にもわかりかねます。ただ、言葉づかいは顔の表情と同じで「その人の歴史が凝縮されている」ものです。どなりつけられて気分よく頑張る人は皆無ですから、(そういう人を)社員を頑張らせる立場におくのはよくないですよね。私の考える役員登用基準の第一は「すべての人を認め尊敬する能力」です。役員というよりも、人に対して指令的な立場にたつ人の基本要件だと考えます。といいながら、私自身も(ついつい)役員、社員をどなりつけているかもしれません。今日の質問をもって自戒のよすがとしたいです。

文責:清水 佑三

2004/06/29 291

ゴルフと仕事の共通項を教えてください。

思いつくままに書きます。まず自然との闘いであること。ここでいう自然とはわが内なる天然自然という意味です。パーソナリティに限りなく近いイメージです。どうして同じ局面に立つとこうも同じ失敗を繰り返すのだろう、がゴルフ場での感慨です。頭がカーッとなって、どこからか天然自然の自分が出てきてしまうのですね。私の場合は、林の中に打ち込んでしまったときによくあります。1打罰を払うと思って横に出せばいいのに、細い林間を通してやろうと思って大たたきをする、その連続です。仕事でもそうですね。カーッとなって余計なことをしたりいったりしては臍を噛んでいます。もうひとつ、ゴルフも仕事も基本的に自己申告が原則ですね。嘘をついたら成り立たないものです。仕事もつくづくその原則で動いている、と思うことしきりであります。あとひとつあげれば、悪天候でやる気をなくす悪い癖が自分にあり、いつも気をつけているのですが、仕事も同じですね。

文責:清水 佑三