人事部長からの質問

2004/07/20 305

英語の勉強法を教えてください。

ヘンな言い方で恐縮です。外資系(企業の)社長のなかで、英語力コンテストを仮にやるとすると、私は多分、最下位にくるといつも思っています。自慢になる話ではありません。それくらい英語ができないのです。大学時代、英語を流暢に話す同級の諸君が鼻もちならず、強い嫌悪感をもちました。どこかで敵性言語だという刷り込みが残っていたのでしょう。ちなみに、長い間、私が好きこのんだ世界は、歌舞伎、合気道、茶道、日本の古典文学等々で、およそ、英語に関係のない世界でした。そういう私が立場上、英語を使わざるを得なくなってとった大作戦は、ガイジンとの間で修羅場をつくり、そこで(英語ができないがゆえに)恥をかく、でした。あまりにひどい恥のかきかたをすると、さすがに多少の反省がわきます。家に帰って、たまには(DVDを)英語字幕にしてハリウッド映画をみるようになりました。16年間これでやってきています。このポストに必要なコンピテンシーに「英語力」は含まれないと考えています。

文責:清水 佑三

2004/07/16 304

人事部長からの質問が少ないように思うが…

そうですね。実際にご質問を下さる方は、私どもの会社とおつきあいのある企業の人事部署の方々からのご質問が多いように思います。ご指摘のとおり、現職の人事部長からの質問は少ないです。それじゃあ、どうして人事部長からの質問、というタイトルを続けているかですが、社会の森羅万象を(企業の)人事部長の視点で眺めるととても有益なのでは、という思いからです。ソーシャル・エイム(社会の要請、付託)とビジネス・エイム(自企業の栄耀栄華)の両方のバランスをしっかりととってゆくことが何につけても大事であり、人事部長というお立場は、つねにその二つを意識しないと成り立ちません。棄てがたいタイトルだと思って続けております。

文責:清水 佑三

2004/07/15 303

聖域なき社内改革のやりかたを。

小泉純一郎さんのやりかたが参考になります。自民党を弱体化させてしまったと(自分が思う)リーダーをまず特定するのです。小泉さんの場合、橋本派を牛耳っていた野中広務さんが特定されました。次に、野中さんのパワーの源泉である「聖域」を探します。野中さんの最大の武器は公明党との太いパイプでありました。小泉さんはもっと太いパイプを作って野中パイプを無意味化する桶狭間の戦いのような戦いを挑みました。(以上は、週刊ポストなどを拾い読みしたことからの空想であります。)野中さんの退場と、小泉さんのやりたい放題的な昨今の行動は、彼の改革が奏功したことを物語ります。ただ、改革=善、という図式はどこまでいっても成り立たないことだけご留意ください。

文責:清水 佑三

2004/07/14 302

あえてこの時期、小泉肯定論を唱えるとすればどうなりますか?

自民党の前近代的な構造(派閥、利益誘導、集票マシン)を壊したこと、民主党に政権担当意欲を与えたこと、北朝鮮に国家犯罪(拉致、不審船)を認めさせたこと、国民感情と乖離している大銀行にメスを入れたこと、等々は素直に評価してよいと思います。今の「小泉さん、もういいよ」コールの泉源をたどると、2回の北朝鮮訪問のときの彼の覚悟の違いに端を発しているとみます。北朝鮮君主との握手や協議場面の映像がテレビで報じられましたが、前回の時にみられた「怒り」が今回の訪朝時では「にやつき」に変わっていました。国民の多くはこの表情の違いに敏感に反応したのだとみています。ひとりの人間の堕落のようなものをみてとったのでしょう。私の中にある小泉肯定論と小泉否定論の微妙なバランスがそのまま自民、民主の新議席数のバランスに出ていたように思います。

文責:清水 佑三

2004/07/13 301

負け組みに共通項はあるか?

元阪神タイガースの野村克也さんが「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という言葉を残しています。おもしろい言葉です。戦争について広く、深く研究した中国の孫子とドイツのクラウゼヴィッツの二人は、(アメリカのマイケル・ハンデル『戦争の達人たち』(原書房)によれば)、多くの共通的な戦争認識をもっています。マイケル・ハンデルの指摘を、私流の喩えを使って翻案すれば、負け組みの共通項は、(1)内部に「関東軍」を抱える、(2)重要な事実を無視、見落とした作戦シナリオ、(3)籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人、の同床異夢、(4)勝ち逃げを好まない、(5)指揮官登用に論理がない、です。参考になれば幸いです。

文責:清水 佑三