人事部長からの質問

2004/09/07 340

フェアな競争とは何を指すのか?

それをやっちゃあ、おしめえよ、と誰もが感じるのがアンフェアなプレーです。優れて感覚的なものでしょうね。何がフェアで何がフェアでないかは、プレーする人が実は体験的にいちばんよくわかっているように思います。たとえば、薬の業界で例をあげていえば、あそこの会社のあの薬は実は厳しい副作用があって、いずれ表沙汰になるから使わないほうが賢いですよ、というような耳打ちをしまくる営業が思い浮かびます。ホントかウソか調べようがない立場の医師や病院は、その一言で黙って購入リストから(副作用があるかもといわれた)薬を外すでしょう。すべて耳打ちでなされているところがミソです。名指しをしないが耳打ちされる側はそれとなくある薬を特定できるようにするやりかたが一番巧妙です。薬で思い出しましたが、ドーピングテストにひっかかるひっかからないは別にして、薬の力で勝つアスリートについても同じようなアンフェアな感じがします。

文責:清水 佑三

2004/09/06 339

シラケ気分が漂う現状を打破したい。

もし、本当に周囲にシラケ気分が漂っていると思ったら、会社を離れることをお勧めします。一社員の立場で状況を打破するすべはなく、会社の先がないからです。その前に点検していただきたいことが一つあります。シラケ気分が漂うという状況認識の適否です。生き生きと仕事をしている人たちだけを取材して、会社の現状を尋ねるのです。生き生きと仕事に集中している人は、多分、ご指摘のような捉え方をしていないと思います。ということは、ご自分が生き生きと仕事に集中できていないがゆえの「ものの見え方」なのでは、と疑うのです。

文責:清水 佑三

2004/09/03 338

「人事改革、各社の事例」は勉強になる。

そう言ってくださる読者が増えてきていると感じています。(自社の)ホームページで「どのコーナーが面白いか」の視聴率調査を社内でしたのですが、社員が面白いと指摘する1位が実はこの「人事改革、各社の事例」でした。私自身にとって勉強になる、という点でもこういう欄を続けて担当させてくれている社内ディレクターに感謝しています。産経新聞の「産経抄」のように菊池寛賞をとりたいですね(笑)。面白い記事が集中する週もあれば、その反対もあり、結構、苦労の連続ですが、やり甲斐のあるコラムです。自分との縁を感じる企業の人事改革を中心に取り上げるようにしています。否定的なコメントを書くのは簡単ですが、その逆は難しいのです。縁=感謝です。縁のある企業をとりあげると(肯定的な)シミジミした筆致に自然になるのですね。

文責:清水 佑三

2004/09/02 337

社歌、社旗に対するお考えを聞きたい。

最近、子会社をたちあげました。親会社がもっていない文化をもちたいと考え、社歌、社旗を制定し、(設立記念式典で)新しい社歌を斉唱し、新しい社旗を掲揚しました。その式典に参列した若い人たちの意見をきくと、意外にも「厳粛な雰囲気に感動しました」が多かった。そうなのだと思います。松井秀喜選手も、ニューヨークヤンキースが7回を迎えるときに行う、国歌斉唱、国旗掲揚の儀式を毎回、まことにもって厳粛な顔で対応しています。アメリカが面白いのは、その厳粛な時間のすぐ後に、「僕をボールゲームに連れてって」という、日本でいえば盆おどりで「炭坑節」を踊るような定番の歌を流してみんなが斉唱するのですね。硬軟の彩(いろどり)の変化がまことにもって絶妙です。社歌、社旗に抵抗感のある人は、会社には向かない、と私は思います。同時に、国なるものにも向かないと思います。

文責:清水 佑三

2004/09/01 336

「浜口親子の関係から学ぶこと」を。

父親が本気になれば、子どもはどんなに苦しくてもついてくる。父親なら、本気で叱り、本気で励ませ。 子どもの前で、親父はいい格好をしようとするな。 自分の生き方に信念を持っていれば、子どもはちゃんと見ていてくれる。…これが何かわかる人は少ないでしょう。ゴマ書房から出ている『親父になれ!』(アニマル浜口著)の目次です。たったこれだけしかない目次もまた凄い。採点ボードの誤掲示に対して吼えまくり、怒りまくる父親に対して、娘は誇りをもっていました。私は父親よりも母親の方に注目しました。3位決定戦に入るまえの母親の娘への叱咤は、ハンパではない。ウィンブルドンの家族席に座る母親にはないものがある。半村良が懸命に描いた浅草魂でしょうか。眼福という言葉がありますが、いい光景を見せていただきました。

文責:清水 佑三