人事部長からの質問

2004/10/07 360

一般職、総合職の区分けの必要性を。

国家公務員のI、II、III種の区分とまったく同じであります。国家公務員は国家作用のひとつとして「行政」を担う仕事をする人たちの総称です。平たくいえば、行政とは法律を作る(立法)、法律に基づいて人を裁く(司法)以外の統治のすべてを言います。よりどころは法律、法令、政令等の法規以外にはありません。したがって、公務員になろうとする人の法律、法令、政令の主旨、内容、解釈にたけている度合いを試験によって分別し、就く仕事の重さ(難度、影響の大きさ)に対応させようというのがこの制度のあらましです。同じような狙いが、民間企業における一般職、総合職の区分についてもいえます。身分と職制は切り離そうとしても切り離しがきかないところがあり、結果としてI、II、III種や一般職、総合職の(入り口での)区分は生涯の身分差に転じてゆきます。

文責:清水 佑三

2004/10/06 359

サービス残業をどうとらえるか?

サービス残業については、当社ホームページ「人事改革、各社の事例」の2003年9月の中部電力の事例をお読みいただけると幸いです。そこで、中部電力の未払い残業料問題についての記事を解説しました。私の年来の持論をひとことでいえば、会社(ないし社会全体)は、拘束時間によって仕事価値が測られるべき仕事と、そうでない仕事を峻別してかからなければならない。そうしないと、何もできない新人が、熟練した先輩よりも高い給与を手にする矛盾が生まれる。そうした矛盾をながく放置すると熟練した先輩はバカバカしくなってその会社をやめてしまい、会社は次第に衰退する、という考え方です。

文責:清水 佑三

2004/10/05 358

イチロー論を。

第二次世界大戦、朝鮮戦争を海兵隊の一兵士として戦い、戦闘機に乗って(朝鮮戦争では)39回も出撃して生還を果たした、打撃の神様テッド・ウィリアムスは、すべての野球人が否定してはいけないメジャーリーガーの偶像です。打つときの「軸のブレは×」というテッド・ウィリアムスの(呪縛的)打撃論を、イチローは身をもって否定しました。それが凄いですね。彼は女子ソフトボールの選手と同じうち方をときどきするのです。走り出しながら流し打つやりかたです。そんなうち方は、教養ある野球人はしてはいけないのです。ところで、彼についてのインタビュー番組はすべて録画しています。強い関心を持ち続けています。いつか、それらが発酵して、馥郁たる香りを伴うに至ったときに、「イチロー論」を書きたいと思っています。(永遠に書けないだろうという意味です)。

文責:清水 佑三

2004/10/04 357

P.F.ドラッカーは好きですか?

日本人のやることなすことを彼のように好意的にみたアメリカ知識人は少ないのではないでしょうか。魚心あれば水心で、日本人もまた彼を好みました。NHK番組『20世紀の証言』シリーズの一巻として彼が登場したとき、私は食い入るように彼の90歳の相貌を眺めました。ある本の中でその印象を書きましたが、まさに「叡山の荒法師」という感じです。すさまじいエネルギーを感じさせるのですね。その彼が江戸時代の日本の寺のありように触れて、NPOの先駆がここにある、今の時代の営利法人は次第にすたれていって、NPOが主体の社会がくる、そのモデルが日本に既に存在していた、という表現をしていたように思います。そういうことを言われると何となく嬉しいのですね。好きな思想家のひとりです。

文責:清水 佑三

2004/10/01 356

リーダーシップの本質とは?

甲斐性といわれるものだと考えています。うちの亭主はほんとに甲斐性なしで困ってしまう、と妻が嘆く(ところの)甲斐性です。いいかえれば、自分の力で群れを養う意志と行動がリーダーシップの本質だと思います。たとえば、信長を例にあげれば、彼は本気で地球儀上の民を自分の力でもっと自由に豊かにできると思っていたのではないか。西洋人に信じられないくらいたくさんの時間を割いて質問を繰り返したのは、世界制覇のための具体案を練るためだったのではないかと私は夢想しています。ほとんどそれはヒットラーの野望と同じです。この2人にリーダーシップの本質が出ていると思っています。

文責:清水 佑三