人事部長からの質問

2004/11/08 380

男の顔は履歴書である、は本当ですか?

おもしろい、いい質問ですね。本当だと思います。この言葉はその昔、大宅荘一さんが「男は40歳にもなったら自分の顔に責任をもたなきゃだめだ。男の顔は履歴書のようなものだ」という名言を吐いて人口に膾炙するようになりました。幅広く話題になったものです。それじゃあ。女の顔はと尋ねられて大宅さんが「そうだな、請求書かな」と語ったというオチがついています。それは多分、嘘だと思います。「一億総白痴化」「駅弁大学」などの言葉は大宅さんの造語です。小泉純一郎さんも話題性のあるコメントをよくしますが、それよりも(大宅壮一さんの方が)ずっとインパクトがありました。ところで、男に限らず、先天的に与えられた顔の表情や味をつくってゆくのは、DNAではなくその人の「感情の歴史・蓄積」だと私はみています。ひがみっぱなしの人生を送っていると顔にひがみが出てしまうのです。そういう意味からいえば、顔はその人の感情史を語る特殊な履歴書だと思います。

文責:清水 佑三

2004/11/05 379

ブッシュ再選をどうみましたか?

開票中継を英BBCワールドと米ABC(NHKBS2)を対比させながらみていました。(日本時間)11月3日、午後10時の時点で前者はブッシュ再選の認識をとり、コメンテータに「ケリー陣営は早く敗北宣言に踏み切るべきだ」と語らせていました。世界各国の視聴者からブッシュ再選の前提でメールの質問を受けつけ双方向番組をつくっていました。一方、同じ時刻、米ABCはオハイオ州の選挙人20人の帰趨不明の状況認識にたち、ブッシュ再選のスタンスはとっていませんでした。NHKのニュース10もその立場でした。おもしろいですね。BBCワールドはオハイオ州の暫定票が全部ケリーへゆくことはないとみたのでしょう。イギリス人のコモンセンス(常識)が発動する現場をまのあたりにした気がしました。

文責:清水 佑三

2004/11/04 378

20年後の日本は、どうなってしまうのでしょうか?

ご質問の原文は、労働者人口の減少、早期離職率とフリーターの増加、財政の破綻等が列挙されて、この国はこの先ほんとに大丈夫なんでしょうか、というタッチで書かれていました。読んでいて、ふと、司馬遼太郎さんが30年以上前に行った講演(防衛大学校課外講演『明治の日本人』)の一節を思い出しました。牧野伸顕氏(大久保利通の子供)が何かに書いていたことを司馬さんが覚えていて語ったことです。…昭和初年に、著名な英国人女性の外交評論家が日本に何年か住み、横浜から英国に帰ることになった。牧野伸顕氏の音頭とりで彼女と仲のよかった政界人が10人ほど集まって送別会を横浜のあるホテルで開いた。その女性はショッキングなことを冷静な表情で語った。「日本はやがて滅びるでしょう。なぜかといえば、日本の陸軍は天下の秀才を集めてる。彼らが秀才であることは認めるが、彼らには常識というものがない」というスピーチだったそうです。陸軍を国家官僚と置き換えると、現在の日本そのものです。20年後の日本はさらにおかしくなっていると思います。はてしなくおかしくなって、闇に沈んで、いつかまた陽はのぼりはじめるでしょう。

文責:清水 佑三

2004/11/02 377

弱点克服の「トヨタ方式」と長所活用の「船井幸雄方式」のどちらが有効か?

たとえばスキャンダルを握られて脅迫される、というストレスフルな状況に置かれたときに、そのストレスにどう向き合うか、個人差がでます。脅迫者を脅迫するパッションで体が熱くなる、自殺を考える、警察署を訪れて淡々と事情説明に入る等々です。いずれもストレスを減らすための選択肢です。この個人差はその人の体質、気質、価値観等によって左右されます。業績があがらない、というストレスフルな状況に置かれた個人や組織が、そのストレスに向き合う場面でも同じです。「トヨタ方式」もあれば、「船井幸雄方式」もありえます。私は個人的には後者の対処法が好きです。前者は厳しくて辛いからです。

文責:清水 佑三

2004/11/01 376

ある雑誌に「社会的偏差値」という言葉があったが。

AERA最新号(2004年11月1日号)の入社面接特集ですね。車内吊り広告で目にとまりました。目ヂカラというおもしろい言葉が見出しに入っていてオヤと思いました。さてご質問の「社会的偏差値」ですが、多くの企業が採用の時に関心を抱く「応募者の序列化基準の最近の傾向性」にそういう名前をつけたのでしょう。今までは学校的偏差値を基準にして人を採用してきたが、それが「社会的偏差値」に置き換わっていっている、というものの見方を映していると思います。ただ、記事をつくった記者、デスクの感覚はダイバーシティ(価値の並列化、多様化)という潮流からは遠いですね。真剣にサバイバルを考えている企業はもうそういう単一価値観的な考え方を卒業していて、多様性をどうやったら担保できるか、そこに目がいっていると思います。

文責:清水 佑三