人事部長からの質問

2004/12/07 400

差別とは何をいうのか?

いわれなき痛みを強いられる、ことだと理解しています。この考え方は教育学の村井実先生直伝のものです。中学時代の恩師のご紹介で(中学卒業時に)村井実先生のご自宅にうかがう機会がありました。中学生の質問に対して、マルクス主義というからわからなくなるんだよ、マルクスさんが作った(経済現象を捕まえる)ワナだと思えばよい。獲物がとれればいいワナなのですよ、とおっしゃっておられました。差別はね、差別されないとわからないのだ。痛い痛いと泣いているとどうしたのですか、と人があつまってくる。ああかわいそうだ、何とかしなきゃ、というのが人間の社会の進歩です。と話されました。今になって鮮明に記憶が甦ります。

文責:清水 佑三

2004/12/06 399

日本型人事制度のモデルは?

私はアメリカのP&Gが日本型人事制度のモデルたりうるのではないか、と前から思ってきました。その理由はP&Gが社是としている「会社観」「仕事観」に、日本人の典型である私個人が強い親近感を覚えるからです。そのあたりは「人事改革各社の事例、P&G編」に譲りますが、ひとことでいえば、地域NPO的な理想をP&Gの企業理念に強く感じるのです。自分が住む地域をよりよい地域とすべく近隣の人どうしがよくはなしあって「自治会」「町内会」「管理組合」等を運営するのはごく自然な人情のようなものです。「地域」を「会社」「仕事」におきかえるだけで一定の理解はできると思います。核にあるのは仕事共同体という見方なのですね。

文責:清水 佑三

2004/12/03 398

管理職登用試験制度を見直したい。

多くの企業の管理職登用試験制度には(私からみて)致命的な欠陥があります。管理職(非組合員)には、リーダー、マネジャー、プロフェッショナルの3つのまったく違った入り口があるのですが、その入り口を曖昧にしたまま画一的な試験制度を実施しているのです。大学生に対してなされる総合職採用と同じ構造です。結果的にどういう人が試験に受かるかといえば、(知識試験に強い)プロフェッショナルタイプの人たちです。部下を持たせると危ない(マネジャーに向かない)、状況創造にはからきし興味がない(リーダーに向かない)、がこのタイプの人たちの特徴です。組織の危機を自らの危機と受け止め、阿修羅のごとく獅子奮迅の活躍をし、刑死してのち大きな名を残した堀内豊秋海軍大佐のような人は、プロフェッショナルタイプの人からは出てきません。そういう人を大量造成してもしょうがないのに、が私の偽らざる意見です。じゃあ、どうしたらよいか。腹案がありますが宣伝めくのでやめます。

文責:清水 佑三

2004/12/02 397

郵政民営化についてのご意見を。

私の考える(郵政領域での)改革のテーマは至極単純で財政投融資といわれる巨額の資金の使われ方の透明性と合理性についてメスをいれる、です。財投の借り手である(いわゆる)補助金受け皿の官業が無意味な存在である場合、なけなしのお金を郵便局に預けている善男善女は浮かばれない、と思うのです。銀行に預金しているお金が、企業に投資され不良債権になるのは(追跡可能な分)救われますが、いなくても誰も困らない人たちの給与や退職金としてただ消えてゆくのは絶望的な構造ですね。日本国民はこうした金の使い方に対して「怒り」をもたない、という不思議な特性をもっています。お上のやることに対してのみ性善説なのでしょうか。郵便局をなくす、なくさない、公務員たるべきか云々等の議論にはまったく興味がありません。

文責:清水 佑三

2004/12/01 396

企業内ニートについてどう思うか?

面白いご指摘ですね。いわゆるニート(無業者)問題には興味がありませんが、ご指摘の問題は気になります。企業内ニートの定義は、給料をもらっていながら、それに見合う有効なサービスを提供していない人とするべきでしょう。窓際族という言葉を連想しますが、窓際族は退職時期が見えているという点でニートとはニュアンスが少し違います。仕事をやりたい(できる)のにやらせてもらえない人たちが窓際族だと思います。企業内ニートは、裁量労働とよばれる領域において雲霞のごとく誕生しやすいです。R&D部署などは企業内ニートのたまり場だと思える場合もあります。そういう人に顕著なのは、いつも何かを考えていて、発言させるとそれらしいことをとうとうと述べる、が特徴であります。自分自身を企業内ニートだといつも自覚しているので、この問題について話させれば1日でも話す自信があります。こういう人が危ないのですね。

文責:清水 佑三