人事部長からの質問

2005/02/02 435

多数の聞き手に向かって話すコツは?

事前に「期待」をどこまでつくれるか、が勝負だとみています。(落語の)志ん生さんの最晩年ですが、彼の話しに酔いたいという聞き手で、寄席はいつも満員でした。彼が高座に登場するなりもう会場の隅から隅まで笑いが走る。もう勝負はついてしまっているのですね。その反対が私などがする講演です。一体、こいつは何者なんだ、何の話をきかせるんだ、と聴衆ははじめから疑いの気持ちをもって冷ややかに講師をみている。話しはじめると、やっぱり思ったとおりバカじゃねえか、来なきゃよかったという顔を露骨にされます。志ん生さんとずいぶん違いますよね。聴衆の期待感を事前にうまくつくる、それがコツだと思います。

文責:清水 佑三

2005/02/01 434

ズバリ、残業に対するお考えをお聞かせ下さい。

所定時間内就労という言葉が象徴的だと思います。工場の生産ラインに人が一定の間隔で並び、自分の持分の仕事をする。需要が多くなれば、時間を延長してラインを動かし、人も残業する。需要が少なくなれば、時間どおりにラインをとめる。これが残業のもっともわかりやすいイメージです。ところが、採用のお仕事のように相手がある場合、しかも夜行動物のような相手である場合、連絡を確実にとるためには深夜に仕事をしないといけない。交代制で昼間に休みをとれるか、昼間は昼間でいろいろな仕事がある。こういう仕事の場合、残業時間をコントロールすることは不可能だと思います。ある時期は、どうしようもない毎日が続きます。こと、残業については、裁量労働制の導入をするしないに関係なく、うまい解はない、と私はみています。

文責:清水 佑三

2005/01/31 433

清水さんは2012年の(地球の)フォトン・ベルトへの突入を信じますか?

2012年に太陽系が高エネルギー光子の帯に入って、電子機器が使用できなくなるという一部の人たちの主張が「フォトンベルト問題」だそうです。信じますか、というご質問にはノーと回答します。百科事典「ウィキペディア」によれば「理論的な裏付けなく、観測されたものでもない。観測に成功したと主張するものもいるが、単なる天の川の写真であったり、無関係の天体であったりする。また、カルト団体がこの主張を利用して人々の恐怖を煽ることもある」とあってけんもほろろの扱いになっています。ご質問に添えられたメモに、ノーベル賞受賞者の小柴昌俊さんがご自身の講演後にフォトンベルトについての質問を受け、憤然として席を蹴ったとありました。小柴さんに心から同情するものです。

文責:清水 佑三

2005/01/28 432

採用時に組織適性をどうみるのか?

戦力適性と組織適性の違いはおもしろいので知っておかれるとよいでしょう。戦力適性は「その仕事をするのに適している性質」です。野球でいえばどのチームであろうと関係なく発揮を期待できるプレーヤーとしての資質です。一方、組織適性は、そのチームの水にあうかどうかを規定する性質です。大昔、西鉄ライオンズは野武士集団といわれました。高倉、豊田、中西、大下、関口、仰木、稲尾といった面々がみな豪傑で、なかんづく大下弘などは酒豪と女遊びで有名でした。7打数7安打の快挙を達成したときなどは、ぐでんぐでんで「軽くバットをあてるしかできなかったからできたのよ」と述懐したものです。大下が球界の紳士チームへの入団試験を受けていたら「組織適性なし」ではねられてしまったことでしょう。組織適性は雑談して(こいつはウチに向くと)感じるしか手がないです。

文責:清水 佑三

2005/01/27 431

当社は「競争」をあおり過ぎているように思う。

競争の二文字を分解すると、競い、争うです。競う方は一定の基準や目標に向かって努力しあう自由参加のイメージがあり、特に強い拒否反応は伴わないものですが、争うとなると違います。争い=戦い=戦争のイメージとなって拒否反応を示す人がではじめます。このタイプは介護、福祉、医療、教育、平和等に関心をもつ人に多くみられます。肌が白くてふくよかなところがあり目が大きいものです。一般に、事務部門、後方支援部門に(その人たちは)配属されます。間接部門にまで目標達成度を競いあう制度を導入すると、そういう人たちはだんだんいずらくなって最後は辞めてしまいます。無理に頑張る人はメンタル疾患に陥ることがあります。後方部門には成果主義は導入せず、競争したい人だけを競わせるが統治の原則です。

文責:清水 佑三