人事部長からの質問

2005/02/09 440

ユーザーズコーナーの「顔」コーナーは面白いですね。

ありがとうございます。顰蹙を買うのではと心配しいしいスタートしました。ご指摘のようにあの欄を肯定的に楽しみに読んでいただいている方が多く、ほっとしています。一種の顔占いコーナーですよね。(当社社員の)顔が、正面、側面の写真で提供され、パーソナリティの自己理解像、他者からみたその人の行動的特徴といった情報が添えられているだけですが、よくよく眺めていると実におもしろいのですね。顔はその人の何かを確実にあらわしているように思えてくるのです。自分の顔写真の掲載を許してくれる人があってのこのコーナーです。「献顔」社員をもてる会社っていいなあ、といつも思っています。

文責:清水 佑三

2005/02/08 439

聴衆の期待を形成する具体的な方法は?

2月2日づけのQ&Aに関連した質問ですね。プレゼンテーションは話す内容ではなく、事前の期待づくりが勝負だと書きました。じゃあ、どうやってその期待をつくればいいかです。話し手に知名度がない場合、(1)非常識、(2)支離滅裂、(3)ナンセンス、の 3条件を揃えた事前アナウンスが大事だと思っています。常識的、論理的、合目的的な人たちに囲まれて参っている多くの善男善女は、敏感にメッセージの意味を感得して、モヤモヤが晴れるかも、という期待をもって会場に足を運びます。

文責:清水 佑三

2005/02/07 438

国民の民度はなにをもって、高い、低い、というのか。

よいご質問ですね。感服しました。個人に置き換えて考えたらいかがでしょうか。あの人ってレベル高いよね、とよくいいますが、これってなんでしょうか。この問題を考えつづけた人がいます。教育学の村井実先生です。先生は『「善さ」の構造』の中で、その人の言動が、 (1)事実との整合性をもつ、(2)現実的で有効な働きをもつ、(3)(結果的に)頼りにする人の輪ができる、場合、周囲の人はその人に対して「善さ」を感じ取り、大事なものを託す、と書いておられます。学力の国際コンテストと同じ要領で三つの基準で「善さ」の国際コンテストをしたときに、上位入賞する選手を多くもつ国について、(その国民の)民度が高いといってよいと思います。

文責:清水 佑三

2005/02/04 437

浅田次郎さんの『蒼穹の昴』に描かれた科挙制度をどう思いますか?

浅田次郎さんの小説はどれをとってもめちゃ面白いですね。それはともかく採用や登用において、いわゆるコネクションの力が働くのは自然であり人情のようなものです。これは中国に限りません。どこの国にもある自然現象です。ただ、コネクションによる登用が行き過ぎると、有能な人はやる気をなくします。これもまた自然な動きです。科挙制度の問題点は、測れるもの(科目別試験)によって、測れないもの(治世の徳)を占う点にあります。国家公務員試験T種でよい点をとった人だけに、行政上の高い位を既得権として与えてしまうような悪習につながります。古代中国は、その反省があって科挙に対して官吏登用に制挙(制科)といわれるシステムを用意しました。コネクションの制度化です。科挙と制挙の振り子をいったりきたりする、が人の世の姿だと思います。

文責:清水 佑三

2005/02/03 436

自律心の強い人はホーレンソーが苦手?

「明るく元気」が長い間(新卒)採用基準のスタンダードでした。今はそれにかわって「自分で考え行動できる人」がその地位にたったように思います。どこの会社も判で押したように求める人としてそれをいいます。社内を見渡して、そういう人が少ないからだと思います。護送船団方式を長くつづけるとそうなってしまうのでしょうね。ところでご指摘のように自律している人は一般に他者依存度が低いものです。あまり他人には関心がない。そういうタイプの人はおっしゃるように報告、連絡、相談といった能力が(どうしても)育ちにくくなるものです。結果的に単独行動をとってとんでもない失敗をしてしまうことがある。要注意ですね。

文責:清水 佑三