人事部長からの質問

2005/02/17 445

中高年になって発達する知能は?

(矛盾するものを統合的に発展させる)止揚に働く知能で、「複雑なものを複雑なものとして理解する力」「矛盾・葛藤関係にある人、ことをまとめる力」「説明しにくいことを譬えなどを使ってイメージ化する力」などの働きと関係します。年齢とともにレベルを高めてゆく知能で、若い人にはあまりみられない知能です。『結晶化知能』という言葉で呼ばれることがあります。この知能はとても高いが、簡単なことをすぐ忘れる熟年者の前にでると、若い人たちはとまどってしまうのですね。昭和20年8月の終戦の詔の草案を作ったといわれる陽明学者、安岡正篤さんなどがこの知能をもつ代表格の人でしょうか。戦後の歴代総理に帝王学を教えたといわれた人です。かの細木数子さんと最晩年につきあいがあり、没後、遺族と細木さんとの間に係争がありました。止揚しすぎたのかもしれません。

文責:清水 佑三

2005/02/16 444

プライドの高い人の扱い方を。

ギブアップしたほうがよいです。どうしようもない、が正直、偽らざる回答です。思い出すのは菊池寛さんのことです。彼のことを書いたものを読むと、菊池寛さんは人並外れた強い個性、主張、自我をもっていたが、およそプライドゼロの人だったと申し合わせたように周囲の人が語っているのです。この両立が彼の魅力だったと語る人もいます。菊池寛さんの反対の人をイメージしてみましょう。自分の目で見、自分の耳できき、自分の頭で考え、自分の言葉で語ることができないのに、プライドだけは異常に強い人です。こういう人は、自分でサッカーをするロボットのようにも行動できません。状況判断もできないし、適切な運動技量もない。だからどうしても現実とのかみ合わせが悪くなります。プライドが高いとそれを人のせいにしてしまうのです。そういう人を採らないしか手がないですね。

文責:清水 佑三

2005/02/15 443

オーラって何ですか?

オラ、三太だ、ハナオミ先生大好きだ、ってわかりますか?戦後間もないころのあるラジオ番組の出だしの名調子です。オーラときくと条件反射のように思いだしてしまいます。すみません。余計でした。オーラとは「霊気」のことをいいます。岩波の広辞苑にもそう書いてあります。オーラは生きているときには「名状しがたい独特の空気」をつくり、死んだ後ではいわゆる「お化け」として人の心眼に映し出されます。日本民俗学を創始した柳田国男さんは、小さいころから自分はオーラ感受性が強く、死んだ祖母の「霊気」にあたって気がふれる寸前まで行ったことが何回もあったと『山の人生』などで述懐されています。私も同質なので強い共感をもちました。霊気感受性がない人にとってこういう話しはさぞかし聞きづらいでしょうね。

文責:清水 佑三

2005/02/14 442

希望退職者を募るときの留意点を。

一にも二にもタイミングだと思います。上り坂、勝ちに行っているときにやるべきです。今回、松下電器さんがグループ全部で8000人の規模で希望退職を募ると発表しました。まさに(勝ちに行っているときにやる)見本のようなケースです。負けているときにやると、残るも地獄、出るも地獄となり、人心に荒(すさ)みが出ます。組織を生き物になぞらえるとトラウマになるのですね。社員が怯えてしまうのです。先行きろくなことはないと思います。そんなことをいっても無理だ、負けているからこそ(スリム化を)やらざるを得ないのだという声が聞こえますが、一理も二理もあると思いますが(この点だけは)譲れないですね。

文責:清水 佑三

2005/02/10 441

強さと優しさの両立は可能ですか?

ほとんど存在しないが、稀にそういう人をみることがある、が私の経験です。フィリップ・マーロウの「強くなければ生きられない、やさしくなければ生きる資格がない」はまさに理想であります。はじめからその二つが同居する人は、生まれた時からきき手が左右両手であるようなもので、まず皆無といってよいと思います。そうであるなら、どうするかです。まずどちらかの確立をこころがけ、しかる後に、自己鍛練によってもう一つを身につけてゆくべきです。難易度という点から申し上げれば、強い人が優しさを加える方がその反対よりも成功確率が高いと私はみています。

文責:清水 佑三