人事部長からの質問

2005/02/24 450

頭のいい人ほど行動しない、って言えますか?

ご指摘のとおりです。私などは行動しかない人間ですが、頭が悪いからそうなるのだといつも思っています。頭のいい人は、過去の多くの人の行動とその結果を全て記憶しています。だれがいつどのようなテーマにどのように挑んだかのデータベースをもっています。そこから、ああ、これはあれと同じで失敗するなと先に見えてしまうのです。だから行動に踏み切らない。行動しない理由も(よい頭を使って)上手につくりあげます。頭の悪い人はそういう芸当ができないのです。だから、やらないといけない課題があると、もっとも難しいことに挑んで行動します。(当然ですが)失敗します。気合が足りないからだとまた挑み、また失敗します。それを繰り返しているうちに、突然成功する場面があらわれます。頭のいい人には考えられない光景ですね。

文責:清水 佑三

2005/02/23 449

営業部長に売り方を変えたらというが変えない…

営業部署の管理職には業界、規模を問わず(おもしろい)共通点があります。非改革的、非創造的なのです。我々の適性テストの「抜本的にやりかたを変える」という刺激文に対して大半の人が「ノー」と回答するのです。考えてみれば当たり前です。営業部署の管理職にとって「予算達成」が何よりも優先されるからです。プロ野球の投手コーチと同じような立場です。予算達成を保障するのは、(勝ち星を確実に)計算できる投手の人数です。「抜本的にやりかたを変える」は投手陣を全部新人に変えるようなものです。まったく計算がたたなくなります。営業部長は、経験で従来の確実なやりかたを捨てるのは危険だと知っているのです。改革、創造を叫ぶのは、予算達成という仕事と無縁な人たちだけであります。

文責:清水 佑三

2005/02/22 448

会社における「教育」のありかたを。

広辞苑は「教育」に次のような説明を与えています。「人間に他から意図をもって働きかけ、望ましい姿に変化させ、価値を実現する活動」。そうでしょうね。その通りだと思います。ほとんど100点をつけてよい説明だと思います。三つのキーワードが大事です。「望ましい姿への変化」を期待し、「意図をもった働きかけ」を行って「価値の実現」につなげる、です。この三つが、野球の(守備における)中継プレーのようにスムーズかつスピーディーに行われた場合、あの会社は教育がしっかりしている、と評価されます。しかるべき結果が出るのですね。その逆に「実現すべき価値」「期待する行動変容」がわかりやすい言葉で表現されていない場合は要注意です。「望ましい姿への変化」がマネジャーごとにバラバラになってしまう危険があるからです。楽譜をもたないオーケストラですね。大艦巨砲が沈んでゆくのは「教育不在」ゆえだとみています。

文責:清水 佑三

2005/02/21 447

ホリエモンの受けが悪いが…

最新の週刊新潮(2月24日号)は『虚業家の正体見たりホリエモン』という3ページの特集を組み、堀江貴文社長が目標に掲げる孫正義も、9年前に豪メディア王マードックと組んでテレ朝の株を買い占めたが結局失敗。最後は朝日新聞社に買い取ってもらった。二の舞になるのでは、という観測コメントを匿名の経済部記者に語らせていました。5年後の社債の償還時にライブドアは最悪、破産の危機に見舞われかねない、とも書いています。米証券リーマン・ブラザーズは堀江社長所有のライブドアの株の貸与を受けていて、早速、空ウリに入ったようだ、と産経新聞は書いていました。まさに魑魅魍魎が跋扈する世界ですね。ところでニッポン放送は戦後、ゼネストで荒れていた日本の行く末を危惧した財界有志が(日経連事務局の)鹿内信隆氏を担ぎだし、経営を委ねて立ち上げた民間放送会社です。日本財界の正統をひく嫡子のような存在です。そこに外資が目をつけたのですから、政、財、官が色めきたったのは無理のない話しです。今回はホリエモンはうまく使われたのであって、ピエロ、犠牲者だとみています。かなりの傷を負うとみています。

文責:清水 佑三

2005/02/18 446

インド医学の考え方は人事に使えますか?

アーユルヴェーダ、アーユル・ヴェーダ、アーユルベーダ、アユルヴェーダ、アユルベーダ、アユールヴェーダ、アユールベーダと表記が定まらないのがかわいそうです。漢方医学とそこが違いますね。マッサージ、エステ、アロマセラピー、ハーブなどと関連づけられ、もっぱら健康商法の道具になってしまっているのもかわいそうです。私見ですが、インド医学の思想は「遺伝子と環境の相互作用論」だとみています。「健康」を多様な個性をもつ身体と、多様な環境(心因)との間の「平衡」として定義し、「平衡」を獲得するプロセスに目を向けた点が重要です。社会的な文脈でみると、戦傷者をつくらないのがインド医学、戦傷者に対して「気」の回復を狙うのが中国医学、戦傷部分を除去するのが西欧医学でしょうか。人事の要諦はインド医学にあり、と思っています。

文責:清水 佑三