人事部長からの質問

2005/03/10 460

好き嫌いで採用してよい、という考え方について。

東京都23区職員の採用は人事委員会による包括採用です。まず23区として採用した後に合格者とそれぞれの区とが話し合い、個別に勤める区が決まります。毎年、どうしても引き受け手があらわれないケースが出てしまいます。なぜでしょうか。23区採用チームの人が客観的なスペック(構造や性能)で採っているからだと私はみています。やむをえないことです。視点を変えて、将棋指しが弟子を預かるときにスペックを基準にして預かるかどうか考えてください。好き嫌い以外の原理は想定しにくいです。採用する人とされる人が同じ職場で働くことが保障される場合、このように好き嫌いで採るべきです。当たり前ではないか、と思います。そうでない場合は、積み残しがあったとしてもスペック(客観)主義で行かざるを得ないとみています。好き嫌いはもともとすべて偏っているからです。

文責:清水 佑三

2005/03/09 459

ソニーの出井会長退任についての感想を。

退任発表会見における記者連中の関心は、この人事が「引責かどうか」に集中していました。「今日は朝からそればかり聞かれる…」と出井さんは苦笑いしながら、自分のコミットメント(公約)のとおりに業績が推移しなかったことによる退任であると明確に認めました。出井さんを弁護するわけではないですが、井深大さん、盛田昭夫さん、大賀典雄さんとつづくソニーの歴代トップは、いずれも一代の英雄といっていい人たちです。誰が跡目を継いだとしても、軽く見えるのは仕方ないです。能吏雄弁の出井さんの陰に隠れて目立ちませんでしたが、出井さんの功績とされる「ソニー生命」や「バイオ」をあそこまでもっていったのは安藤国威さんです。出井さんの無念の思いのとばっちりが社長から(平)顧問へという安藤さんの処遇に表れているとみました。気の毒ですね。

文責:清水 佑三

2005/03/08 458

相性の正体ってなんですか?

私は、価値意識、知能タイプの一致が(相性の)正体だとみています。価値意識が同じだと一緒にいて苦痛に感じません。お金が好きな人どうしが目の前にお金をおいて眺めている光景でしょうか。とても和やかなものです。知能タイプが同じだと雑談が雑談でなくなり、「面白くて為になる」と双方が感じるものです。お金知能が高い人どうしだと、自然に「ポートフォリオ(危険の分散)」がテーマになり、その時点での情報や意見の交換で時を忘れるものです。フェロモンとかの議論もありますが、本質的過ぎてギブアップします。

文責:清水 佑三

2005/03/07 457

清水さんのように惹きつける話し方がしたいのですが。

私の話し方については誤解です。人前で話すのが嫌いで、日経新聞の記者の方から「ひきこもり社長」というあだ名をもらっているほどです。うまいなあ、と感心する講演者の代表格をあげておきます。『いま、感性は力』(致知出版社)を書かれた行徳哲男さんです。講演中に、脅す、泣く、わめく、しんみりさせる、黙ってしまう、といった感情サービスをふんだんに盛り込みます。行徳さんの作戦だと思いつつ、ついつい感動してしまうのですね。まったく眠くならないのです。ヒントになりますか?

文責:清水 佑三

2005/03/04 456

「成長」についてわかりやすく

成長について、日葡辞書は「ソウモク(草木)セイヂャウ(成長)スル」の文例をあげています。日葡辞書は、関が原で天下分け目の戦いが終わったすぐ後ぐらいに作られました。版元は長崎学林です。著者は日本語によく通じた日本イエズス会のバテレン数名だといわれています。ポルトガル式とよばれるローマ字表記で、日本語の見出しをつけ、ポルトガル語の説明を添えました。また文例を一つひとつにつけている点が特徴です。英語は英英辞書を日本語は日葡辞書の文例をみる、が習慣になってきました。それくらい言葉の背後の本質が両者を使うとみてとれるのです。「成長」は草木が育つように大きくなってゆくことをいうのだと思います。それ以外の説明はできないし、よくわかりません。「変化」と「成長」は違う、だけはよく留意しておいてください。

文責:清水 佑三