人事部長からの質問

2005/04/01 475

連座責任についてどう考えますか?

(ある社員の)性格的なものに起因する不祥事によって、上司、そのまた上司が懲戒対象となる事例は日常茶飯にみられます。公職選挙法における連座責任制とよく似ています。ただ、職場で刃物をもって他者に襲いかかるような触法性人格障害者と呼ばれる人の行動(統制)はマネジメントの範疇外にあると私はみています。誰もコントロールできないという意味です。そういう場合に注意義務違反といわれても、じゃあどうすればいいの、と逆に問いたくなります。連座責任の及ぶ範囲は、あくまで委譲された権限の行使においての注意義務違反に限定すべきだと考えます

文責:清水 佑三

2005/03/31 474

4月1日に入社する新人への向き合い方を。

教育ママ(パパ)と揶揄される人たちのように新人を扱わない、がポイントだと思います。人のなりたちとして、過保護、過教育に扱われると、知らず知らず、自立できなくなってゆくものです。医療の世界で、クスリづけになっていって、自然が与えた治癒力、免疫力が次第に失われてゆく過程とよく似ています。獅子の子落としとか、かわいい子には旅をさせよ、ということわざどおり、課題を与えて厳しく扱い、自分で這い上がってくるものを待つ、という姿勢でよいと思います。そのことと注意深く一人ひとりを観察して、谷底に落ちてしまう獅子を未然にすくいあげる、は別な次元の問題です。

文責:清水 佑三

2005/03/30 473

自律性のある人の利害得失を。

万有引力や微積分法を発明、発見したアイザック・ニュートンにしても、光量子説やブラウン運動の理論で知られるアルバート・アインシュタインにしても、それまで市民権をもっていた学説をまったく信用せず、自分で元の元から考えようとした点でよく似ています。こういうタイプの人を自律性がある、といいます。結果が出る人もいるし、出ない人もいます。状況変革の指揮を任すことができるという効用があります。他方、8人の漕ぎ手にコックがつくボート競漕の選手などにはまったく不向きです。他人がピッチを決める、それに自分があわせる、そのことに耐えられないからです。

文責:清水 佑三

2005/03/29 472

研修のプロになりたいが、アドバイスを。

研修のプロ、という言葉で連想するのは盲導犬訓練士の仕事です。この仕事ができるようになるためには、視覚障害者と盲導犬の安全歩行の知識・技術以外に、視覚障害者と犬についての一般的な生理・心理について知識の獲得が必須となります。盲導犬ってかわいい、訓練士ってかっこいい、という動機でスタートするとまず続かないですね。研修のプロも、研修受講者に難度の高いワザを身につけさせるというよりも、ビジネス上の適応障害者の安全歩行を支援する盲導犬になりきる、という目標意識をもつほうが現実的かつ有効です。身近に適応障害者がいて、その悲劇をつぶさにみて一念発起しないとダメだという意味です。

文責:清水 佑三

2005/03/28 471

強い組織をつくるコツのようなものは?

上から順に「強くてやさしい人」をあててゆけばよいでしょう。ここでいう「強い」とは安定的によい結果を出しつづけるという意味です。「やさしい」とは結果を出すプロセスに弱者の心の痛みへの配慮があるという意味です。持ちゴマをその角度で序列化し、上の人から順に大きな権限を与えてゆきます。その結果、どういう世界が現出するか。強くてやさしい組織に向かって歩きはじめます。多くの会社をみてきての感想ですが「強くなくてやさしくない人」に権限を与えている。大いなる間違いです。どうしてそんなことになるか。トップの人の、人を見る目が狂ってきているからです。

文責:清水 佑三