人事部長からの質問

2005/04/08 480

失敗を恐れず挑戦する企業風土をつくりたいが。

減点主義が実効(実際の効力をもつ)基準である会社において「失敗を恐れず挑戦する企業風土」はまず作れないです。思い切って新しいことをやれば、10のうち9は失敗するからです。トム・ワトソンや中島常幸が最高地点にいながらフォーム改造に着手して、長いスランプの谷に陥った事例がすべてを語っています。今までやっていないことをやれば、まず失敗すると思ってよい。それなら加点主義でいけばよいかですが、短いスパンでの加点主義は、実は本質的に減点主義なのです。成果のみを問題にするからです。サントリーさんが実践しておられる「やらせてみなはれ」という強い失敗許容主義をトップ以下組織のすみずみまでがもたないとダメでしょうね。

文責:清水 佑三

2005/04/07 479

中途採用の歩留まり(成功率)が低い。

特に年収の高い層の中途採用においてその傾向は顕著です。連戦連勝だという声は今まできいたことがありません。なぜなのだろうかとよく考えます。選考プロセスが杜撰であるゆえ、という意見もありますが、どうもそれだけではないと思います。この件については、プロ野球の新外人の歩留まりが悪い理由を考えるとよいかもしれません。スカウトの目は大体において確かなのです。問題は水にあうあわないという問題です。やってみないとわからない。蓼喰う蟲も好き好きで日本のプロ野球の世界はよいと思って頑張る人もいれば、いったいどうしてこんなバカなことをノー天で続けているんだろうと嫌気がさして帰り支度する人も出る。こればっかりは予見できないですね。怒ってスカウトを首にするオーナーがいますが間違っています。

文責:清水 佑三

2005/04/06 478

野球の観戦がお好きなようだが。

笑う勝者と泣く敗者が一瞬決まってしまうシーンが好きなのです。1993年10月のカタール(ドーハ)で行われた W杯アメリカ大会、アジア最終予選での対イラク戦でのロスタイムでの失点シーンなどが典型でしょうか。実は、あの試合はイラク代表にとってもギリギリの場面でした。もし日本に勝てば彼らがアメリカに行けたのです。ロスタイムの攻防の一瞬によって、勝者がなくなり、2チームがともに敗者になりました。サダムの息子の鞭打ち刑がイラク選手を待っていました。これもまたドーハの悲劇です。野球は確かに好きですが、野球に限らず勝者と敗者を分けてしまう一瞬に立ち会うのが好きなのです。何が勝敗を分けてしまうのか。深く引き込まれる謎です。

文責:清水 佑三

2005/04/05 477

ナルシスト型の方が業績をあげられる?

よいご質問だと思います。中学時代のことですが、クラスにヒサクニヒコというナルシストの典型のような男がいました。あだ名が「イシキー」というもので言動の隅から隅までが自意識過剰そのものでした。当時から絵の天才として学内で超有名でした。還暦を過ぎた今、本職の漫画だけでなく、恐竜研究、絵本作家、童話作家、放送タレントなどとして大活躍しています。彼を中学時代に傍らでみていて、この男は将来、有名になるだろうな、と思いました。ナルシスト+「腕」があったからです。ご質問への回答は、「腕」を伴う場合に限り大化けする、というものです。

文責:清水 佑三

2005/04/04 476

成果主義に対する批判の大合唱について。

『数字と人情−成果主義の落とし穴−』という本を書いたためと思いますが、否定的な角度から成果主義(人事制度)へのコメントがほしいという放送局や雑誌社が結構でてきています。私をハナから否定論者ときめつけておられるのですね。あの本の中で確かに成果主義的風潮を批判しましたが、一方で、自分は強烈な成果主義信奉者である、とも考えています。特に自分を含めて人の上位に立つ人たちに対しては「成果なきものは自ら去れ」という強い思いをもっています。采配を振るう立場の人が無知、無能であるというのは許せないのですね。一種の背任だと思って生きてきました。逆に、人の采配で仕事をしている人に対して成果主義をいうのはバチがあたります。

文責:清水 佑三