人事部長からの質問

2005/04/15 485

激務とはどういうことを言うのか。

内閣総理大臣は間違いなく激務をこなしていると思います。また、トップ依存度の高い会社におけるトップも激務をこなしていると思います。他方、猛烈な量の残業をしているが、同じ仕事(量・質)を隣の席の人は残業せずにやっているような場合、猛烈な量の残業をしている人を「激務をこなしている」というかといえばいわない気がします。厩戸豊聡八耳命(うまやのとよとやつみみのみこと)ときいてもピンと来ないでしょうが、 8人の訴えを同時に的確に処理できたという聖徳太子の別名です。聖徳太子の仕事ぶりが激務のわかりやすいモデルですね。

文責:清水 佑三

2005/04/14 484

受身で仕事をするのは悪いことなのか?

そう思いません。能動も受動も、働き方のスタイルをいっているだけで、仕事の質を規定するものではありません。自分からは何をやりたいといわず、与えられた役割に対して強い意欲をもち、よく勉強し、技術を体得して、一つひとつ誠実に丁寧に仕事をこなす人は、組織にとって貴重な資源だといえます。スタイルとしては受身だと思いますが、組織に対する貢献においては価値が高いでしょう。一方、主体的、能動的に仕事をするが、ひとりで突っ走ってしまって大きな間違いをしでかす人は会社にとって困り者です。どちらをとるかといえばあきらかに前者をとるべきです。

文責:清水 佑三

2005/04/13 483

施行された個人情報保護法をどう思いますか?

(個人情報保護法とのからみで)病室から患者の名札を外したり、待合室で外来患者の名前を呼んで呼び出すのをやめる病院が出てきているそうです。また、ある病院では外部の人から患者名を言われて病室を尋ねられても、患者本人が同意しない限り、病室を知らせないことを決めたそうです。(個人情報保護法を離れても)一理も二理もある話だと思います。人に知られると困るような病気で入院しているときに、病院が秘匿に協力してくれなかったらどうしようもありません。それはそれでわかるのですが、もっとも秘匿したい医師との個別のやりとりが、診断を待つ次の患者にまる聞こえしてしまうような医療環境を変えることの方が先にあるのではと思う次第です

文責:清水 佑三

2005/04/12 482

部署間の連携が下手なのが気になる。

入れ子構造になっているマトリョーシカというロシアの人形があります。群れ(の特徴)とその群れに帰属する個人(の特徴)は、あんな感じで入れ子構造になっているとみます。したがって、人との協調、協働が下手な個人が集まってつくる群れは、当然のことだと思いますが、組織間の協調、協働が下手なものなのです。経験的にいえば、IT系の会社には特にその傾向性があります。個人がタコツボ型になっている会社ほど、よいマネジャーが育たないものです。そういう場合、個人プレー型の会社からチームプレー型の会社にすべく、採用、教育、評価の軸を変えてゆくことです。

文責:清水 佑三

2005/04/11 481

優秀な人が退職し、そうでない人が残る…

残って(この質問を)書いておられるわけですから、額面どうりには受け取れないです。それはともかく、同じ嘆きを口にする若い人事の人が実に多い。しかし、翻って思うに、本当にそうでしょうか。私は違うという意見をもっています。そう見えるのです。隣の家のバラは赤く見え、芝は青く見えるだけなのではないか。残るも地獄、去るも地獄がこの世の実相です。面白きことのなき世を面白く、の言い方を真似れば、バカばっかりの会社のほうが「やることが多くて」よいではないか。カイゼン効果がすぐ目の前に現れてすばらしくないか。出ていってしまう優秀な人は、それに気がつけないほんとのバカなのではないか。これって負け惜しみでしょうかねえ。

文責:清水 佑三