人事部長からの質問
研修になじまない「生まれつきの能力」の代表格は？
「男は度胸」の度胸だとみています。肝ったま、と俗にいいますが、まさに「生まれつきの能力」としかいいようがない。度胸のある人の典型は織田信長でしょうか。信長公記など、身近に彼の傍にいた人の記録を読むと、信長は、まさに（細心の注意力をもった）度胸の人です。桶狭間の戦いとも田楽狭間の戦いともいわれる今川義元の急襲、斬殺にみられる彼の行動力にはすさまじいものがある。最近の人ではホリエモンがそれにあたります。殴りこみの先頭に立てるかどうか、が度胸のバロメータです。度胸修得研修をいくらやってもダメという気がいたします。
文責：清水 佑三
コミュニケーション能力を面接以外の方法で測れますか？
営業の現場でお客さんからいわれた「返答に窮したクレーム」を集めてください。それをくじ引きで（応募者に）ひいてもらい50文字くらいの短さで「回答」を書いてもらいます。まず、そのできばえが評価その1です。次に、ほかの人がつくった「できの悪い回答」を台本にした上で、クレーム処理ロールプレーをしてもらいます。できの悪い回答なのに、どういうわけかお客さんを納得させてしまう人がいます。そのできばえが評価2です。両方に高い点をとる人は、確実に顧客の輪を広げられる人です。
文責：清水 佑三
泥臭い業界なので学生が敬遠する。どうしたらよいか？
名案はない、が回答です。その泥臭さが魅力だと思う人を金（カネ）の草鞋を履いて探すべきだと思います。説明会にたくさんの人を集め、魅力的なプレゼンをしたとしても、結局は入社後の早期退職を予約するようなものです。あまり得策だと思いません。今までよりももっと明確に正直に泥臭さを訴えると、(自分は泥臭い世界が好きという）本能が目覚めて近づいてくる人が、向こうからやってくるかもしれません。そういう人を鍛えてゆくほうが現実的かつ有効だとみます。
文責：清水 佑三
JR西日本の事故後の対応に憤りを覚える。どうしてこうなるのか？
私はご指摘とはまったく違った気持ちを感じています。JR西日本の対応の中にまざまざと自分をみた、という表現が近いでしょうか。事故後わずか6時間しか経ていない段階で、加害者が責任を他に転嫁するがごとき発言は許しがたい、同じ車両に乗っていて救助せずに足は会社に向かった、なぜだ。誰も反駁できない批判、正論です。ただ、自分がJR西日本で当時者の立場にいたらと思うと鳥肌が立ちます。同じように行動したと思う。JR西日本批判の大合唱ですが、私はすべて結果論だと思える。申し訳ないが、私には（JR西日本を）批判する自信がないです。
文責：清水 佑三
なぜ日本は科学技術立国たりえたのか？
東芝創業者の栄誉をもつ「からくり儀右衛門」こと田中久重が設計・製作したとされる万年自鳴鐘（愛称、万年時計）は江戸時代末期に作られたものですが、愛・地球博グローバル・ハウスの目玉の一つになっているくらいで、これを見る現代人をして「心胆を寒からしめて」います。すごい知恵と器用さがあるのですね。科学技術立国たりえない多くの国の先祖に果たしてこういう人がいたか。私はいなかったとみています。ご質問への回答は、優れた科学的思考力をもったたくさんの先人をもつゆえ、です。その厚みは縄文文明まで遡るとみていますが詳しい議論はここでは省きます。
文責：清水 佑三