人事部長からの質問

2005/06/02 515

ジョブサイズ、という考え方は使えますか?

ヘイ(コンサルティンググループ)さんが提唱している考え方ですよね。理解が間違っているかもしれませんが、首相、知事、市長、町村長では、あきらかにジョブサイズが違うと思います。同じ市長でも、ニューヨークの市長と私が住む熱海の市長とでもジョブサイズが違うような気がします。その違いに世間の関心度、処遇などが概ね対応していることも理解できます。職務権限の行使によってもたらされる影響・衝撃の範囲や深度の違いをいうのでしょう。同じ社長でも、ジョブサイズはピンからキリまである、といつも思っています。違いの定義がしっかりした場合、とても有用で重宝する考え方だと思います。

文責:清水 佑三

2005/06/01 514

お金についてよく考えた人っていますか?

中村光夫さんを推薦します。『知人多逝』(筑摩書房)という本の一章の「金銭と精神」がおもしろい。この章の最後に「金の魔性が、人間精神の所産である以上、それを統御できなければ、人間は結局そのつくりだしたもののために滅びるほかない筈です」と書いて章を閉じています。まさにそうなのですね。言葉も数字も同じだと思う。それを作ったことによって人はそれに支配されはじめる。言葉や数字がそれ自身で目的化したときに、自然が与えた大切なものを奪われる。金というシンボルのもつ不思議さ、魔性を深く考えさせてくれるという意味で中村光夫さんのこの本をあげておきます。

文責:清水 佑三

2005/05/31 513

清水さんのリーダーシップ論がききたい。

Jリーグを生み出した川淵三郎さんが、私がリーダーシップを語るときのモデルです。彼は機会あるごとに「すべての学校の校庭を全部天然芝にしたい」と語る。こういう話をすると、多くの聞き手の心は明るくなるのですね。Jリーグや日本サッカー協会のことを考えていっているのではない、と感じるのです。こういう人に人はついてゆきます。地域、子供、遊び、の延長線上にサッカーがくる。大切さの順序をしっかりと決めて、信念として結晶させている。彼の行動は長い目でみて、少しもぶれていない。真のリーダーという称号を与えたいと思いますね。

文責:清水 佑三

2005/05/30 512

目標管理制度についてひとこと。

ゴールへの到達は七転八倒、臥薪嘗胆、起死回生して勝ち取るものであって、管理して得るものではないと思っています。ましてや成功を制度化するなどはまったくできない相談だと思っています。たとえを使えば、音楽会でのアンコールの回数の目標をきめて、それを獲得する道筋を事前にきめて、つつがなくそのとおりにやっているかどうかをチェックするようなのが目標管理制度です。聴衆の感動はそうやってやってくるのではない。実にさまざまな要素、要因がからみあって、結果としてアンコール、アンコールとなるのです。プロ野球でいえば、優勝する目標を設定して、管理できるだろうか、そんなのねえよなあ、が回答でしょうか。

文責:清水 佑三

2005/05/27 511

一生つとめたい、新人が増えている現象は?

謙虚になっているのでしょうね。成果、実力、能力主義は聞こえはよいが、大相撲でいえば、朝青龍にみんななれ、といっているようなものです。ああいう格闘的性格は自分の中にはないのでは、と思った瞬間に、渡り職人の思想は消えて、自分のライフワークは自分が入ろうとしているこの会社なのではないか、という思いが兆します。結婚するときにこの人こそ一生の伴侶と思うのと同じです。こういう考え方は「文明の高み」であって、「文明の低み」ではない。最近の中国、北朝鮮への不快感は、おかしいことをおかしいと感じる自然回帰です。まことにもって結構なこと、と感じています。それと同列ですね。

文責:清水 佑三