人事部長からの質問

2007/12/10 1136

人間力という言葉について清水見解を。

よく使われる言葉ですね。星野仙一、高田繁などを育てた明治大学野球部の御大島岡吉郎はよくこの言葉を使っていたそうです。オレは野球を通して学生の人間力を磨くんだ、というのが口癖だった。巷間『島岡式人間力野球』と評されたものです。星野にしても、高田にしても人間力が評価されて明治野球部のキャプテンになった。歴代の明治のキャプテンは野球から足を洗った人たちを含めて、ほとんどが一定以上の社会的評価を得る仕事をしたそうです。島岡の人間を見る眼力にはただただ驚かざるを得ない。島岡が何をもって人間力と呼んだか。星野、高田の生き様を見ているとよく分かる気がする。一言もってこれを覆わば、人をして事をなさしむる人、でしょうか。

文責:清水 佑三

2007/12/07 1135

朝早く来るヤツに優秀者が多い気がする。

人のバイオリズムのパターンを仮に、朝型、夜型と分けるとしましょう。企業人に向くのは明らかに朝型ですね。その代表は戦後の経済人の中で出色と言われた“メザシの土光敏夫”さんです。東芝の社長時代、出社時間が早く、始業時間までの間、現場の課長クラスに電話をかけまくっていたそうです。東芝の夜型の課長はこれにはマイッタでしょう。東芝全体が朝型の会社に変わっていった。その反対に、芸能界やヤクザさん世界はどうか。夜型が幅を利かしている気がします。夜に会っても「おはようございます」と挨拶しています。朝と夜がひっくりかえっているのですね。さてご質問ですが、朝早く来るヤツには「努力する才能がある」とみてよいでしょう。ことによるとその才能が(仕事人生において)何よりも大事なのかもしれません。

文責:清水 佑三

2007/12/06 1134

今の教育現場では「叱る」はご法度だそうですね。

「叱る」だけではないですね。「比べる」もご法度です。100メートル走をやって、1位、2位、3位の生徒を表彰することも自ら禁じてしまった。「比べて」優劣をつけることがいけないのです。どうしていけないか。劣るとされた生徒たちの人権に触れるのだそうです。こうした子供時代に受けた教育が、大人になってからの人生にどういう影を落とすか。企業に入ってからの不適応問題です。(例えば)営業現場に配属されれば、毎日が同僚と「比べられ」「叱られる」ことの連続です。「比べる」「叱られる」ことへの免疫を持たない彼らの多くはやがて体の変調を訴えはじめる。昨今の若手におけるメンタル疾患者の大量発生は教育現場に原因ありとみます。

文責:清水 佑三

2007/12/05 1133

台湾での星野監督の戦いぶりはいかがだったですか?

初戦の対フィリピンのときは、あまり感じませんでしたが、対韓国、対台湾では彼の才能がよく出ましたね。韓国戦では、成瀬への見切りづけが早かった。その反対に岩瀬をギリギリまで引っ張りました。この二つはその場に臨んでのひらめきとしかいいようがないです。固定的にものをみる監督からはまず出てこない投手交代策です。最後の台湾戦での圧巻はサブローに対して命じた無死満塁場面でのスクイズです。三塁走者が信頼をおく主将の宮本だったこともバクチに打って出た理由でしょう。スクイズを成功させたサブローと宮本も凄いですが、一かバチかのサインを出した星野も凄い。「打って一丸になる」とはこういう場面をいう。ほんとにあの場面はしびれました。

文責:清水 佑三

2007/12/04 1132

従業員意識調査の有効な使い方を教えてください。

上手な使い方を説明する前に、下手な使い方の例をあげておきます。集計結果を様々な角度からグラフ化して従業員にフィードバックするやりかたです。見せられた方は、何をどう見ればいいかさっぱりわからない。宙吊り状態に置かれてイライラが募ります。こんなに手間暇かけて、これが結果かよとがっかりします。経営からのメッセージが皆無なのです。反対に、100種の情報が得られたら、その中で、推進したい経営課題の根拠となりうるものを一つだけ選び、経営改革に結びつけるやりかたは有効です。たとえば、女性従業員が全体として「閉塞感」が高いという事実が調査から浮かび上がった場合、女性従業員を活性化させるプロジェクトの立ち上げにこの調査結果を使うのです。従業員の方々は、結果が生かされていると感じ、経営姿勢を評価します。うまい使い方ですよね。

文責:清水 佑三