人事部長からの質問

2005/06/16 525

外資系だがわけのわからないことを本社がいってくる。

外資系と断っておられますが、外資系だから、ではないです。あらゆる場所で日常茶飯に見られる現象です。困る人を困らせて喜ぶ習性を(根源的に)人はもっているのです。それはともかく、外資系に籍をおかれる方で、ご質問にあるような嘆きを漏らされる方が実に多い。(親が)ラテン系だと感情の爆発という形をとり、ゲルマンだとへ理屈をふりまわすという形をとる。アングロ・サクソンの場合は凝っていて、契約上の小さな瑕疵を突くのが好きです。親子の関係があるので、振り回されますが、損して得する道を黙って探せばよい。表向きすべて親のいうことを聞くのです。後は創意工夫をして親が見えないところで換骨奪胎すればよい。バカにつきあってつぶれたら元も子もないですから。外資系勤務が長くなるとこういう芸は自然に覚えるものです。

文責:清水 佑三

2005/06/15 524

愛校・愛社・愛国精神は同じものですか?

同じものです。どういう理由でそこにいるかと関係なく、自分がいる、またはいた場(組織体)を愛し、肯定する精神です。サッカーのジーコ(日本)監督は、「ご縁がありお世話になった日本に恩返しをしたかった。それができてよかった」とバンコックでの北朝鮮戦後にしみじみと話していました。こういう考え方をする人が愛校、愛社、愛国精神をもつタイプですね。ご縁、お世話、感謝といった言葉を好みます。慶応と早稲田の出身者の違いの一つにこれがあります。慶応OBは自分も含めてですが、学校にお世話になった、という思い入れが強く(学校への)寄付を厭いません。早稲田出身者で学校に寄付をしているという話は(私のまわりですが)あまりききません。

文責:清水 佑三

2005/06/14 523

よい評価者の見分け方を教えてください。

評価のよしあしはフィードバックによって決まります。よいフィードバックができる人がよい評価者です。では何がよいフィードバックかですが、一にもニにも「しみじみと心をうつ」が目安です。私の経験でいえば、どうしてそんな細かいことまで観察していてくれたのだろう、自分がここだけは見ていてほしかった点を、きちんと外さないで見ていてくれたのだろう。どうしてこんなに厳しいつきつけをこんなにやさしくうまく言えるのだろう。この点はどうしてなのですか、矛盾していませんか、というこちらの質問に対して、とってつけたようなことをいわず、黙り込んでから「そうだよね、たしかにそうだよね」といって謝るような表情をする。そういうフィードバックに出会ったときに涙が自然にこみあげてくるのですね。

文責:清水 佑三

2005/06/13 522

水と油の会社が合併する。人事マンの心構えを。

合併にもいろいろあります。家庭内別居のようなスタイルもあれば、ほんとに家風を一つにしようとする合併もあります。前者であれば、今までどおりでよいのですが、後者の場合は、成功率がよめない臓器移植をやるようなもので、いたるところで生体拒絶反応がでます。(人事マンには)死屍累々の戦場が待っていると思ってください。そういう場合の対処方針ですが、仕事に気を入れないことです。人の生理、心理の構造上、できないことを無理にやろうとすると、推進担当者の精神、神経、感情を壊してしまいます。水と油を無理に一つにしたバチがあたるのですね。死んだフリをして時を待つことです。

文責:清水 佑三

2005/06/10 521

このコーナーですが「項目検索」できるようにしたら。

こういう欄の回答者は一般的にですが回答集がデータベース化するのを恐怖しているものです。回答内容を仔細に点検すると、相互矛盾、整合性の欠如が山のようにあるからです。ことわざでも「人を見たら泥棒と思え」といったり「旅は道づれ、世は情け」といったりするのと同じです。ご都合主義と誤解されかねない。すべての知見は、時と場合と目的によって決まるゆえであります。そういう矛盾を許容してくださる前提でなら、データベース化もあるかな、と思っています。この欄の担当者にお願いしてみます。

文責:清水 佑三