人事部長からの質問

2005/07/07 540

シミュレーションの効用を教えてください。

東条英機側近とされた星野直樹といっても知らない人が多いでしょう。ダイヤモンド社のパーティで私は直にこの人の謦咳に接したことがあります。今から40年近く前です。その(企画院総裁)星野直樹が初代の所長事務取扱いとなって昭和16年4月1日に発足した「総力戦研究所」は、その年の夏、第1回の総合戦机上演習をおこなって、日本必敗の結論をだしました。机上演習の指揮をとった飯村穣陸軍中将は、バリバリの軍人でありながら東京外語に在籍したことがあり、トルコ陸軍大学でフランス語を講義したくらいの知性派です。彼の影響か、総力戦研究所は自由にものが言える雰囲気だったそうです。ここでいう机上演習がシミュレーションです。事象をもって事象を語らしめる手法です。ために日本必敗というタブーに近い結論を得ることができました。歴史はこの机上演習の結果が正しかったことを示していますね。

文責:清水 佑三

2005/07/06 539

労働行政の言い分はマカ不可思議だ。

ご指摘の点はよくわかります。私自身、労働基準監督署にある件で呼びだされて、超過勤務と対価の関係性について諄々と説明を受けました。「違うのですよ。創造的な仕事になればなるほど投下時間と成果は逆比例するのですよ」「ILOの調査報告をみてごらんなさい。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本の人たちは、仕事が好きでよく働く国民なんです。それを大事にしないと将来えらいことになる。」といくらいっても聞いてくれませんでした。私は司法警察官であってあなたの講演を聞きにきたわけじゃない、といってとりあってくれなかった。私の言い分がわからないとは、じつに不思議な人たちだと思ったことです。

文責:清水 佑三

2005/07/05 538

サッカーで一番惹かれる選手は?

バットマン宮本恒靖選手でしょうか。ガンバ大阪でのプレーは見たことがありませんが、日本代表チームのディフェンダーとしての彼のプレーを見ていて、1986年に日本一に輝いたタイガージャージー(慶応ラグビー)の9番、生田久貴選手をよく思いだします。第1回W杯オールジャパンに入った伝説のスクラムハーフです。2人に共通しているのは、瞬間的な判断力と敏捷性がワンセットになっていること。ラインへのメッセージが明快であること。大男たちに対してタックルに行くときの捨て身さがハンパでないこと、でしょうか。キャプテンシーとよくいいますが、宮本恒靖ほどふんだんにキャプテンシーに恵まれている選手は滅多にいない。ヤクルトの宮本慎也選手も同じです。宮本、という姓には何か霊力があるのかも。

文責:清水 佑三

2005/07/04 537

顧客のニーズを知る、って何ですか?

わからない言葉集、という本を編纂するとすれば、一項目を割きたい言葉です。よくわからないよくわからないと思い思いしてきました。顧客のニーズがわからない、のではなく、そもそもニーズという言葉がよくわからないのですね。自分のニーズって何でしょうか。何だかよくわからない。スキャンダルを起こして、世間がはじめてそうか、清水さんのニーズはそれだったのか、という類のものではないでしょうか。このあたりの思考は松本清張氏が精緻です。ニーズとは、明るみに出るまでは存在しないもの、明るみにでたらもうおしまい、となるものの総称でしょうか。

文責:清水 佑三

2005/07/01 536

野球以外のスポーツの例をひいて話してください。

公開セミナーなどの場では最近よく野球を離れた例をだします。たとえば、人事考課で「積極性」という評価項目があるとします。野球だとせいぜい早いカウントから打ってゆく、ぐらいしか例をあげにくいのですが、サッカーやラグビーだともらったイエローカードの数がすなわちその選手の「積極性」だ、と話します。吉とでれば相手の得点を封じるが、凶とでると味方の失点にむすびつく。これが積極性の本質です。サッカーやラグビーのオフサイドも野球にないルールです。待ち伏せを肯定する文明の下では思いつかない面白い禁じ手ですね。

文責:清水 佑三