人事部長からの質問

2005/07/29 555

管理職に必要な能力は?

『上司は不器用でちょうどいい』(PHP研究所)で書いたことの繰り返しになりますが、運・愛・力の三種の神器が必要です。運は、説明不要。愛とは『パッション』という映画でジム・カヴィーゼルが演じたイエスが繰り返し繰り返し説いたものです。自分を虐げたもの、陥れたもの、憎むものを慈しむ性質です。最後の力ですが、神話形成につながる究極の手品です。まわりが目をまわすような神業をひとつはもたないとダメです。

文責:清水 佑三

2005/07/28 554

ブログについてどう思いますか?

ブログって日記様のもののホームページ化ですよね。ブログが世界を動かしている、と書いている人がいて、ふーんと思ったことがあります。荷風の『断腸亭日乗』のレベルになれば話は違うと思いますが、私は普通の人が書く普通の意味での日記という存在に懐疑的で、変態的自閉的な「あやしきもの」と子供の頃から思っていました。その日記の書きちらしがインターネットというメディアによって世界的な流行をみているというのですからまことにもって、世はダイナミックに変態化していると思う。ただ、ブログランキングのベストテンに入る人が書く文章は勉強になります。ジャンルを問わず、目を通すようにしています。文章力の確かさ、書いている内容の面白さで、自分の文章など足元にも及ばない。

文責:清水 佑三

2005/07/27 553

会社全体として闘争心が弱い…

御社のお仕事の性質から来ています。動物図鑑を考えるとよくわかります。獲物を追って殺し、肉を食むライオンなどの動物は闘争心がないと商売になりません。仕事でいえば営業の前線がそれにあたります。一方で、営々と役割を分担して食べ物を運びつづける蟻のような動物を考えれば、闘争心があると逆に商売にならない。会社全体の社会でのありようがライオン的なのか、蟻的なのか、よく考えるべきです。御社のお仕事は、来たお客様に対して丁寧、誠実に対応して、信用を静かに蓄積していくことが基本です。店頭の人が闘争心をもってしまったら何が何だかわからなくなります。ないものねだりをしないことです。

文責:清水 佑三

2005/07/26 552

成果、について明快な定義がほしい。

ご指摘の意味はよくわかります。どこにでも転がっているものを拾ってきて、成果といわれても口アングリですから。私の意見はきわめて単純で、戦略目標の事前定義が成果です。自分の勤める会社の例でいえば、適性テストの利用目的で、採用5、全社員測定5の割合にもってゆく、が戦略目標です。これを達成した場合、それは成果であり、社としての表彰に値します。部署ごとに与えられた任務の遂行度の問題と成果とを明確に分けて考えるべきだ、という意見です。成果主義は、限られた戦略部隊に援用されるべき評価概念です。

文責:清水 佑三

2005/07/25 551

フレックス給与制度をやりたい。

あらゆる制度はフレックスであるべきです。固定化するから(時代の)変化についてゆけなくなるのです。人事制度の根幹は給与制度です。この根幹をフレックスにしていいのか、という疑問の声が聞こえますが、大丈夫だと思います。要は、会社がどういう価値を優先して考えているかがみんなにわかればよい。それと評価に「まがまがしい汚れたもの」が入ってこなければ大丈夫なのです。プロ野球の選手の給与はフレックスです。なぜ、それができるのかといえば、成績優先の考えが貫かれていることと、個人の成績差がよくみえるからです。野球のように成績差がよく外から見えるようにしておけば、一般の企業でもフレックス給与制度は導入可能だと思います。年俸制を厳密に運用すればフレックスにならざるを得ないのです。

文責:清水 佑三