人事部長からの質問

2005/08/05 560

朝令暮改に対してどう思われますか?

「朝令暮改=命令や方針がたえず変って何をしていいかわからない」は決してよいことと思いません。オーケストラが奏でる音楽に喩えると、作曲者の譜面がまずあります。これは永遠に不動、不滅です。次にこの作曲者の意図を解釈して、実際の演奏に落とし込む役割をもつ個々の指揮者がそれぞれの時代にあらわれる。ビジネスの世界に翻訳すれば、譜面がその会社を興した人の「創業の精神」です。これは永遠に不動、不滅でなければならない。次に、その時代、時代の環境にあうように「創業の精神」を解釈する、経営者がいるのです。市場環境の変化等の美名のもとに、「創業の精神」の解釈を日々ふらつかせることは許されません。朝令暮改は破滅の予約だと考えます。

文責:清水 佑三

2005/08/04 559

中長期経営計画策定にかかわっているが…

無常観をお感じになりながら仕事をされている様子が文章から伝わってきます。今まで何度つくって何度反故になったのか。明日のことがわからないのに、どうして来年のことがわかるだろうか、というのが自然な感情です。ところで、これは違うなと思ったのがカルロス・ゴーンさんが登場したときの日産サバイバルプランです。明確に公約になっているところがすごい。ただの作文ならば無常観ですが、公約になると話が違います。自分の首がかかってきます。しかも、V字回復の公約です。前年同水準を維持するという寝言みたいなものではない。二つの違いをよく認識されて前者のような官僚の官僚による官僚のための作文集づくりの要請であれば眠りながら作るべきです。

文責:清水 佑三

2005/08/03 558

「改善」と「進化」の違いについて。

生態学者の今西錦司さんは河川の水生昆虫の分布から、生物種間で生息域をずらせる調整現象の存在を指摘し、「棲み分け」と呼びました。新しい生物の種が誕生し、「棲み分け」の構造が変わったときに、生物の進化がなされたと今西さんはみたのです。したがって「進化」とは新しい「棲み分け」図の誕生につながったかどうかによって判定されるべきです。「改善」は「棲み分け」に影響を与えない、域内調和的な営みを指すのでは、と思っています。

文責:清水 佑三

2005/08/02 557

受動的な上司はいかがなものなのでしょうか。

積極的に指示を出す上司、部下をうまく誘導する上司がいる一方で、部下からの連絡を待ち続ける受動的な上司や、部下にまかせっきりの上司がいるように思います。どうお考えでしょうか、がご質問の全文です。私の意見は能動、受動はスタイルの違いであって、パワー(能力)を規定しない、というものです。受動的に見えて、群れを的確にある場所からある場所に(目的的に)移している人は、結構多いものです。成果主義の観点に立てば「○」ですね。したがって能動○、受動×という図式は(私は)成り立たないと思います。

文責:清水 佑三

2005/08/01 556

『仕事における根性論』について教えてください。

鎌倉の東慶寺に東京オリンピック女子バレーチーム監督の大松博文さんのお墓があります。鬼の大松、根性の大松といわれた人です。感じるところがあってお墓参りをしたことがあるのですが、いってみると、お墓に石のバレーボールがおかれている。そこに『根性』と書かれているのです。大松さんも大変だなあ、冥土にいっても根性かあ、と思ったことです。根性は私の持論はその道のプロになる人の必須道具で、サラリーマンにはいらないのかも、と思います。サラリーマンは、根性があるように見せる芸の方が大切です。

文責:清水 佑三