人事部長からの質問

2005/08/12 565

幹部候補生にも数年の現場経験は必要ですか?

部下を指導、育成する立場の幹部と、経営次元で活躍する幹部と分けて考えるべきです。前者の場合、現場経験は必須なように思います。自分の経験をもとに部下に対してわかりやすく話せるからです。一方、後者の経営次元で活躍する幹部の場合、仕事は、将棋でいうと、今の盤面をどう読むか、手持ちの駒をどう使うか、という意思決定業といえます。その場合、駒の気持ちを下手に知らないほうが怜悧で思いきった手が打てます。どちらのタイプの幹部を意識するかで、回答が違ってくると思います。

文責:清水 佑三

2005/08/11 564

「事に仕えて濁らず」の意味を教えてください。

恋愛関係にある男女(同僚同士)が職場で目と目を見合って微笑んでいるとしましょう。気にしない人も多いかもしれませんが、どちらか一方の人に異性としての興味を感じている同僚がいた場合、気になって仕方がなくなり、その結果とんでもないミスを犯してしまうことがあるかもしれません。これが私のいう「事に仕えて濁る」です。目を見合っている方がもつ感情も劣情だし、それが気になる方がもつ感情も劣情です。劣情って何ですか?…広辞苑によれば「いやしい心情」であります。仕事場にいやしい心情をもちこむな、といっているだけです。

文責:清水 佑三

2005/08/10 563

地味なBtoBの会社。学生への知名度をあげる手段は?

社会的に意義があるが、面倒すぎてどこもやらないような仕事に精をだしてみたらいかがでしょうか。御社がSIerというお仕事をしているのであれば、学生向けの「SIer辞典」を編纂してオンラインで無償提供するのです。社員教育用の情報を使えばそんなにお金もかからないでしょう。こうしたいくつかの努力は少しづつ認知を受けてゆくものです。ブランド形成の基本だと思います。

文責:清水 佑三

2005/08/09 562

人と自分を比べて落ち込むことが多い。

同じです。利害が錯綜している人が集まっている場で、率先して発言し、他人の意見や立場をよく踏まえて自分の考えを上手にまとめ、全体の流れをうまくつくっていける人が、ほんとうにいるのですね。HSBCの人事で活躍されている二ールさんというイギリス人です。いつも羨望を感じるのです。その反対に、どうしてこんな下手な言い方、態度で議場を混乱させるのだろうといぶかる人も周囲にいます。その人たちを見ていると優越感を感じるのですね。その二つをうまくバランスをとりながら生きてゆきましょうか。

文責:清水 佑三

2005/08/08 561

人事考課は人に対して行うのか、事に対して行うのか?

物事の成り立ちをよく考えておられる人からの質問だと思いました。「刑法」のもつ働きについての根元的な問いかけですね。私が働くエス・エイチ・エルグループでは、評価は人に対してではなく、事に対して行う、と言い切っています。もっといえば人格と職能は独立しており、会社は職能を評価することは許されても、人格を評価することは許されない、という理念をかかげています。多くの会社の採用面接、登用面接の現場を見させていただいていますが、日本に生まれ日本に育った人には、この理念はどうしても馴染みにくく、評価の対象は事ではなく人になっているように思います。私の今の見解は、元々遺伝的に(我々には)備わっていない職能の分離、抽出にこだわらないで、人のどこをどのように見るかという技術論を精緻にしてゆくことで、(人を見ても)事を見るのと同じ評価に達する工夫をしてゆくべきだ、です。

文責:清水 佑三