人事部長からの質問
子会社を切り売りし利益を狙うトップについていけないものを感じるが。
「長い期間かけて育ててきた子会社を切ってまで利益をだそうとするトップの考え方になじめないものを感じてしまう。自分は残る方にいるので、切り売りされる人たちのことまで考え及ばないというのが実情ですが」とご質問に添えられていました。つきつめると政略結婚についてどう思うか、だと思います。お家安泰のためにはやむをえないこともある、が私の答えです。政略結婚で徳川宗家に嫁した皇女和宮は、短い間でしたが夫との間で幸福な時間をもちました。政略結婚だから幸福を築けないということも言い切れないです。
文責:清水 佑三
グループ採用をする上で大事な点は?
三つあるように思います。ひとつはブランド(冠)を傷つけないための(ミニマム)レベルを誰がどのように保障するかの問題です。二つ目は、グループ内における人材要件の差別化というタイプ問題です。これは意外に難しいテーマです。三つ目は、グループ各社の育成チームとの連携問題です。とった後の育成力に大きな会社間でのばらつきがあると、優秀な人をとってバカに変えてしまうようなヘンなケースが出かねません。留意点としてはそれぐらいですが、どれをとっても難事ですね。
文責:清水 佑三
清水さんの社長室にはオーディオ装置はありますか?
元の質問は「音楽を聞きながら仕事をすることについて清水様のご意見をお聞かせいただきたいです」です。おもしろい経験をひとつお話ししましょう。大昔ですが、イギリスのある会社の社長室を訪ねたときに、部屋にクレデンサの蓄音機がおいてあって、SPの音盤が綺麗に飾ってありました。わずか3分程度の時間でしたが、何とかという名前の社長はいとおしそうな手つきで一枚のレコードをとりだしかけてくれました。クレデンサ独特のじつに微妙な味のある音楽が鳴ったのです。私はそのときペイペイだったのですが、将来、オレも社長になったらこれでゆこうと決めました。それから30年の歳月が過ぎ、社長になりましたがクレデンサの蓄音機は社長室においてありません。クレデンサを買う余裕も、音楽を聴きながら仕事をする余裕もまだないのです。
文責:清水 佑三
しつこい電話勧誘でセミナーに学生を呼ぶ企業について。
かっこよいやりかたで物事がうまくゆけばそれにこしたことはありません。一握りのブランド企業以外はそれができないために、社員みんなが苦労しているのだと思います。ものを売る場面でもそうですし、ご質問にあるような人を採用する場面でもそうです。そういう企業を不人気企業と呼ぶとすれば、不人気企業の生きる道は、かっこよくないやりかたで生計をたて、その日その日を凌いでゆくだけです。やがて艱難辛苦が実を結び、貧すれば鈍するの反対の「気品」をもって世間を渡れる日がやってくる場合もありえます。武士は食わねど高楊枝、は空想としてはあっても現実にはありえないと思います。
文責:清水 佑三
評価能力がある人もそうでない人もいる。同列に扱う360度評価とは?
文責:清水 佑三