人事部長からの質問

2005/09/09 585

医療費を抑制するアイデアはありますか?

非常に簡単なことをいいましょう。治療費の自費負担分を拡大すればよいのです。病院にたくさん金を払うなら死んだほうがマシだと思う人は、病気にならないための工夫に目の色を変えます。生活習慣病関連の医療費は減ってゆくに違いないです。自分が社長を勤めている会社で出張費を抑制するのに(この考え方を)使いました。固定的な出張手当制度を全廃し、実費主義に変えたのです。実費主義というと聞こえはいいですが、会社に請求できる費用のほかに出てゆく金は自己負担になりますから、出張太りと反対のことが起きます。自然に出張費が抑制されました。逆転の発想のようですが、甘えの構造によって生まれる出費をなくせばスリムになります。

文責:清水 佑三

2005/09/08 584

企業統治も、群雄割拠→中央集権→地方分権という流れをたどるものでしょうか?

 「企業においても歴史にみられるような、群雄割拠→中央集権→地方分権というプロセスは必要なのでしょうか?」というのがご質問の全文です。ご質問では中央集権→地方分権が政治において必然のプロセスとしてイメージされていますが、私はそうではなく、中央集権と地方分権は振り子のようなものでもともと行ったり来たりするもので、どちらがより進歩的であるとはいえないものだとみています。群雄割拠は一権力の内部構造論でいえば、地方分権の範疇に入れるべきものです。ご質問への回答は、企業統治は中央集権であればあるほど経営資源の活用において無理と無駄がなくなりよりよい成果を生むというものです。中央の賢愚の程度だけが問題であります。

文責:清水 佑三

2005/09/07 583

分社化したがうまくゆかない。

(分社化の)メリットとしては、(1)フラット化による意思決定のスピードアップ(経営力向上)、(2)事業特性に合った人的資源の再配分効果(生産性の向上)、(3)権限委譲によるコミットメント効果(有言実行風土の醸成)、(4)グループ総人件費の削減、などが指摘されています。逆に落とし穴ですが、(4)の副作用が顕著です。分社した時点ではあらわれないのですが、分社後に採用した社員と分社時点のメンバーとの間の「取り分をめぐる軋轢」が次第に鮮明になってきます。ある労働組合のシミュレーションでは、その会社の新卒入社3年目で(分社化前と比較し)予想年収で150万円の差がつくそうです。新卒で気がきいた人は、分社化とは生産性格差による人件費格差化政策だと気づくはずです。総人件費抑制を狙って分社化した場合、それでもよい人材が集まると考えるのは虫が良すぎます。

文責:清水 佑三

2005/09/06 582

今、何に熱中していますか?

ピーター・サビルとロジャー・ホールズワースの二人のビジネスサイコロジストは、1977年に、OPQと彼らが呼ぶ適性テストを開発し、その尺度別得点域(低、中、高など)の組み合わせから被測定者のパーソナリティのタイプを自動診断するコンピュータ・ソフトウエア=SHLエキスパート・システム=を開発しました。多国籍企業に爆発的にヒットし、今のSHLグループの基礎が作られました。私の興味はその延長線上にあり、自然言語で書かれたエントリーシートを機械が読んで、その人の経験の幅と深さを一定のあてはまりで予測するソフトウエアの開発に熱中しています。この世界の先達であるダグラス・レナートはすでに履歴書を読んでその人の年収を予測するソフトの開発に成功しており、わがほうも成功は間近だと思って熱中しています。

文責:清水 佑三

2005/09/05 581

不作為の作為について教えてください。

薬害エイズ事件(HIVが含まれた血液製剤を投与された血友病患者がHIVに感染して死亡した事件)で、安全な加熱製剤が開発された後も、危険が言われていた非加熱製剤の流通を止める行政措置をとらなかった厚生官僚、松村明仁が製薬会社幹部とともに「不作為の作為の罪」を問われ、2001年9月に有罪判決がでました。今回の石綿(アスベスト)の公害事件でも同じように不作為の作為で大量の官僚の告発、訴追が予測されています。行政当事者だけでなく、事態を放置してはならない責任を負う立場で事態を放置した会社の経営者に対しても不作為の作為が問われることもありうると思います。

文責:清水 佑三