人事部長からの質問

2005/10/04 600

国民負担率は上がり続けると思われますか?

よいご質問だと思います。こうした抽象的な問題で思考法を訓練し、不透明不可解な目の前の現象にその思考法を応用してゆくと、それをしない人と比べて「あの人、頭が不自由でない」と言われるようになります。それはともかく、世界を眺めると70%まで負担率の高い国があります(デンマーク、スウェーデン)。個人でいえば給与額面が30万円だとして、9万円しか振込みがないということです。同じように法人所得に対して70%の課税を求める図を想像してみましょう。産業空洞化が起こること必定です。社民党、共産党などの政策はこちらを志向しています。しかし今回の衆議院選挙を通しての(主権者の)意思表示は「小さな政府」への賛同です。自己負担での福祉サービスという路線への大きな舵切りが近い将来行われるでしょう。

文責:清水 佑三

2005/10/03 599

自信のある人を採用したいと思うが…

自信のある人を採用したいという考え方は、採用基準の持ち方として、一番わかりやすく使いやすいものだと思います。ただ、落とし穴が二つあります。オペレーション系と呼ばれる仕事(工程の手順を間違えない限り一定の品質の結果が保障されるタイプのもの)の場合、よい働き手はしばしば自信無げに見える人だという事実、それと営業系で問題児となる人に自信過剰タイプが集中しているという事実です。このことを念頭におかれ、自信の裏打ちとなっている経験を詳しくきいて「獲得されてきた能力」としての自信が感じ取れたらOKを出すというふうにされるとよいでしょう。

文責:清水 佑三

2005/09/30 598

阪神がリーグ制覇しました。ジャイアンツ再建論を。

家に小型冷蔵庫くらいのラジオつき蓄音機があって、子供のころ、よく野球放送をきいていました。庭の木のてっぺんに登って、そこから実況中継の再現をしていたものです。国会中継が半分、野球中継が半分でした。近所に家がなかったからよかったですがもしあったら苦情が出たでしょう。一番よく真似をしたアナウンサーは今年のオールスター戦で殿堂入り表彰を受けたNHKの志村正順さんでした。その時代からのジャイアンツファンです。もうやめました。トップがあまりにお粗末なので、ファンであるパッションを失ってしまいました。したがって再建に向けてのビジョンはないです。当社の社員が会社に対して同じような気持ちにならないようにトップとしてしっかりしないとと思っています。他山の石ですね。

文責:清水 佑三

2005/09/29 597

労働組合は悪ですか?

そんなことはないです。正当防衛のようなメカニズムでしょうね。資本家が意図をもって働く人を搾取しようとしたときに武器になるのが(労組者の)団結権であり争議権です。ところが、自発的フリーターやニート志願者に埋め尽くされようとしている社会において、組合の団結権とか争議権といっても、まず会社に入ってくれないのだから話にならない。会社に入っても、会社が用意する保養所などは見向きもしない。ダサイのです。まして争議権行使のための準備金として毎月組合費をくれといわれたらウザッタイの一語に尽きるのでしょう。労働組合の組織率は国会における社民党、共産党の議席シェアの水準まで落ちるでしょう。悪でも何でもなく時代の流れからマイナー化しているというだけです。

文責:清水 佑三

2005/09/28 596

チームを大化けさせる人がいない。

近年では星野仙一の阪神タイガースが大化け事例でしょうか。小泉純一郎の自民党もそうかもしれません。遡って幕末の勝海舟もそうだと思います。星野、小泉、勝に共通するのは「すべての人に挑む」性質です。咸臨丸でアメリカをみて帰国した勝が幕閣によばれて「アメリカと日本で何が一番違うか」と尋ねられ、かの国では上から順に人が賢いといってその場の雰囲気を白けさしたという有名な挿話があります。挑戦的ですね。そういう人がいないというお嘆きですが、それが普通であって、星野、小泉、勝は突然変異で神の気まぐれのようなものです。意図的にみつけて配置することは不可能です。天はときどきそういう不思議な人事を、チームを選んでするのですね。

文責:清水 佑三