人事部長からの質問

2005/10/26 615

景気にかかわらず増収増益を続ける会社はどこが違う。

部門別予算の立て方に秘密があると思います。その部門の「利益」が四半期ごとに予算化されていて、計画と実績との乖離について合理主義に貫かれたレビューをする風土、文化がある場合、景気と関係なく「増益」を続けることが可能になります。一般に利益と売上は連動するもの。結果として「増収」がついてくるのだと思います。「売上」「原価」「経費」等を基準に予算を作る企業は、官庁的体質になってゆき、右肩上がりの「利益」曲線とは無縁です。どうすれば部門別予算を「利益」という指標で作れるのか。増収増益企業は口が裂けても言わないでしょう。まさにそこに錬金術の秘密が隠されているからです。

文責:清水 佑三

2005/10/25 614

阪神タイガース上場についてどう思いますか?

いろいろな人がいろいろなことを言っていて面白いなあ、と思っています。特に関連のブログを斜め読みしているとその感慨を禁じえない。AI(人工知能)の父ともいわれるマービン・ミンスキーは、NHKテレビの『未来潮流』で、ネット社会は特定の影響力のある人の考えを、膨大な大衆が好きなところだけコピーして持ち合う社会だといっていた記憶があります。まさに、ブログを読んでいてそう思うのですね。悪いがオリジナリティを感じるコメントはほとんど皆無です。私の意見は、その日その日の会社の成績がガラス張りでよく見える会社の上場はあまりない。やってみたらよい、に尽きます。株価アップダウンの予測を楽しみとしている人にとって自分の目で見、耳できいて会社の将来を考えるという点でこれほど簡明直截な情報開示はないはず。上場の日を楽しみにしています。

文責:清水 佑三

2005/10/24 613

現地採用者として働いています。気持ちの持ち方でアドバイスを。

ご質問は海外で働いておられる方からのものです。しかし、述べられている悲哀や闘志は、上を見上げれば冠企業からの出向者ばかりという環境で働く(プロパー採用の)人たちに通じるものがあると思います。まさに「最後までここにいるのはオレだ」という自負と、裏はらの「身分制度の非合理性、そのやりきれなさ」がないまぜになって心中複雑なものがおありになると思います。私自身、ある放送会社と出版社の子会社で同じ気持ちを存分に味わったので、よくわかります。ウサ晴らし法ですが、出向先に骨を埋める気がないのに、支配風を吹かせる特定のターゲットをみつけてサディズムの極地を追求するのです。合理性の衣をまとえば、存分にやれます。論理的にとことん突くのです。やがて悲鳴をあげてターゲットはいなくなります。自分の風土を自分でつくることができるように次第になってゆくはずです。やや回答として不適切な気がしますが、ホンネをいいました。勘弁してください。

文責:清水 佑三

2005/10/21 612

職場におけるノミニュケーションは必要ですか?

お酒ということに限定するとよくわからなくなりますが、職場で気のあった人が、仕事以外の時間を共有するのはごく自然な現象だと思います。それを奨励するのも禁止するのもヘンだと思います。ただ、怖いのは「大事なことがそういう場で決まる」という習慣や風土です。特定のサークル、集団による組織の私物化に発展してゆきます。こういう会社の将来はあまりよろしくない。そこだけ注意すればよいと思います。

文責:清水 佑三

2005/10/20 611

Q610の続きです。環境問題と絡めた「技術者教育の神髄」は?

技術者を研究者に置き換えて答えたいと思います。あらゆる先端的な科学技術は、ヒロシマ、ナガサキにつながる危険と隣り合わせだと思います。そのことは医薬の世界で顕著にあらわれています。難治の病変に劇的に効くクスリは極めて重篤な副作用とセットになっているのです。問題は、そのことを(企業ではなく)個々の医薬研究者がどこまで自覚、意識できるかです。「副作用について確実な知見を導くこと」ができないならば、新薬として世に出してはいけないのだという「医薬従事者としての良心」が自らの「功名心」に打ち克てるようにするのが医学教育の神髄です。まったく同じことがご指摘の技術者教育にもいえると思います。

文責:清水 佑三