人事部長からの質問

2005/11/02 620

ユニクロ創業者の後継者へのダメ出しをどう思われますか?

ご質問に添えられている文章の一部に「ユニクロの経営陣の入れ替えなどを見ていて、実は多くの(後継)社長が本当は社長としてミスフィットな人が多いのではないかとも感じます。(略)自社の後継社長をみていてもつらいものがあります」というふうに書かれておられます。この件で思い出すのは、任天堂の岩田聡社長のことです。「業界の創造主であり先生」と岩田氏が呼ぶ山内博氏からいきなり42歳で後継社長に指名されました。02年就任後の業績ですが04年、05年3月期の数字をみても増収路線をきていますし、株価こそ一時期の2万円を超える水準からは下げていますが、営業利益率でほぼ20%ラインを維持しています。仕事上で任天堂の人事の方にお会いしたことがありますが、社内での評価も悪くありません。一概に創業者の後の社長がプアであるとはいいきれないのでは。ユニクロの場合はダメ出しをする創業者の期待と後継者評価に無理があると思っています。

文責:清水 佑三

2005/11/01 619

(No.616の続きです)将来のフェロー候補を早期選別する方法について。

御社のような世界的な企業の場合ですが、現職の課長層をガイガーカウンターのような資源測定器にかけると、フェロー候補、ボード候補が各5%で、残りの90%は課長という身分が(双六でいう)あがりです。先般、ボード候補の人の早期選別基準は「人をインスパイアできるかどうか」であると申し上げました。フェロー候補の人のそれについては「他社からのスカウトの有無」だと思います。マイスターとか、匠とかの社内称号をもらう人は、かならず業界でも知る人がいるものです。人の口に戸はたてられない、のたとえのとおり、そういう角度から情報収集すれば、フェロー候補者の早期発見、早期対応が可能になると思います。

文責:清水 佑三

2005/10/31 618

(総勢5人の)R&Dセクションです。所長を含め先輩層はほとんど寝ている。若い私にできることは?

早く偉くなることしかないです。大学時代のことですが、指導教官が私に自校批判めいたことをクチにされたので、「聞き苦しい。塾長になって自分がよいと思う学校にすればよい」と申し上げました。ずいぶん生意気なゼミ生ですよね。心の底からそう思っていたので後悔のようなものはなかった記憶があります。今回も同じことを申し上げたいです。「所員のコミュニケーション力の向上をめざす」を第一手としてあげられていましたが、それとこれとは本質が違います。というより、コミュニケーション力なるものの正体がよくわからない。小泉純一郎のコミュニケーション力を批判する人は多いが、彼は言ってもわからない人に言わないだけだとみています。自ら要所と思うジョージ・ブッシュ、経団連の奥田、参院の青木には丁寧に意思疎通をしているフシがある。

文責:清水 佑三

2005/10/28 617

「適性テスト」の結果は求めに応じて伝えるべきですか?

「不採用にした女子学生の中に適性テストの結果は自分の個人情報だからその結果くらい教えてくれてもいいのでは?と言ってきた方がいました。それに対してどう対応すべきとお考えですか?」というのがご質問の全文です。いつも使っている比喩でいえば、人間ドックの検査結果を素人がフィードバックしてよいかどうかという問題がひとつあります。仮に検査結果の読み方について専門的な知識をもち、フィードバックの倫理・技能・経験をもった人が噛んで含めて説明したとして「自分の性格について正直に答えたために落とされた」と感じている人がその説明を受け入れるだろうか、が次にくる問題です。以上の二点のリスクから私は求めに応じるべきではない、と思います。

文責:清水 佑三

2005/10/27 616

将来のボードメンバーを早期選別するコツを。

人をインスパイアできる、かどうかが(早期選別)のリトマス試験紙だと思います。インスパイアという便利な英語をどうしても使ってしまうのですが、ほかにうまい日本語が思いつかないのです。ロッテのボビー・バレンタイン監督がもっている性質のことを指していっています。彼の術中にはまって、西岡、今江、里崎、福浦、ベニー、フランコ、みんな生き生きと打撃の仕事をしています。一発勝負で打撃陣を活気づかせるのは至難のワザです。それができる人をボードメンバーにはほしいですね。

文責:清水 佑三