人事部長からの質問

2005/12/09 645

使用人兼務役員の役員賞与の意味あいが不明だ。

使用人兼務役員の定義ですが、「会長、社長、副社長、専務、常務等の役がつかず、かつ取締役営業部長のように取締役でありながら、営業部長という職制(使用人としての立場)を有するものをいう」が一般的だと思います。株主総会の承認を要する役員賞与は、取締役としての仕事と部長としての仕事を分けて、取締役としての仕事部分への謝金だと思うべきです。取締役でない他の部署長と同じ仕事しかしていない、とみなされる場合は役員賞与はゼロであるべきです。一方、常務で営業担当となっているが、実際の仕事はもっともよく売る営業マンであるような場合も厳密にいうと役員賞与の対象者ではないと思います。利益と信用を安定的に生み出すインフラを準備し使用人をして、それを適切に運営、管理せしめて、利益と信用を生み出した者への会社からの謝金が役員賞与の意味だとみます。

文責:清水 佑三

2005/12/08 644

会社も老化しますよね。

老化とは岩波の広辞苑によれば、年をとるにつれて生理機能が衰えること、だそうです。その結果どうなるか、哺乳類においては、自律神経と内分泌腺が主体となって行われる統一的・合目的的な体内環境(体温、血流量、リンパ流量、血液成分など)を一定の正常範囲に常に保とうとするホメオスタシス能力が劣化してゆき、ついにはその個体は死んでしまいます。アメリカの高名な生理学者キャノンが定義したこの老化=ホメオスタシス喪失現象は明確に企業内組織においても観察可能です。具体例をあげると、一握りの人たちが各部署の正常な機能あるいはそれを統合する機能を劣化させるような、専制・秘密・煩瑣的形式・画一などの手段で統治の私物化を行い、各部署のもっとも若い細胞がやる気をなくして組織を去ってゆく、などが典型的な組織老化現象だと思います。こういう現象をお役所風ともいう、と同じ広辞苑に書いてあります。

文責:清水 佑三

2005/12/07 643

優秀な人が辞めてゆきライバル社に入った…

(ソニーさんにはたいへん悪いですが)ご指摘の現象をソニー化現象と(私は)勝手に呼んでいます。優秀な人が辞めていって敵対勢力となってゆく現象です。一つだけ例をあげれば、ソニーからアメリカのユニデンに転じた板橋隆夫氏でしょうか。ソニーで「ベガ」の開発エンジニアの一人だった板橋氏は、ユニデンに転じた後、1インチ5000円以下の大画面液晶テレビ事業の統括推進者に就任しました(この項雑誌『選択』12月号による)。辞めるのはいいのですが、自分を育ててくれた会社がダメッジを受けるような場所に自分を置く。どうしてそうなるのか。形式上は円満退社であってもそうではない。想像するに、ソニー時代の思い出があまりよくなかったのでしょうね。そうでない限り、こういうことを普通はしないものです。自由闊達で愉快なる理想工場の建設という井深大さんのソニー創業精神が、いつのまにか枯渇、蒸発してしまったのだと思います。

文責:清水 佑三

2005/12/06 642

清水さんは増税と歳出削減のどちら派ですか?

脈絡のない話で恐縮ですが、昭和34年頃の自民党の権力闘争と今の自民党のそれと酷似していると思います。当時「党人派」と呼ばれた大野伴睦、石井光次郎、河野一郎らに対して、吉田学校の流れをくむ「官僚派」の岸信介、池田勇人、佐藤栄作らがいて厳しい権力闘争を繰り返していました。子供だった私は河野一郎の大ファンで、ラジオ中継で聞いた彼の委員会質問の声色をよく真似したものです。今の自民党に翻訳すると河野一郎を思わせるのは中川秀直(党)政調会長です。彼がいうことはいちいち私の肺腑に届く。「役人のリストラから逃げて消費税増税を安易に口にする政治家は官僚に戻れ」とばかりのもの言いは河野一郎を彷彿させます。役人出身の財務大臣谷垣禎一などはションベンがちびったでしょう。与謝野晶子直系の豪腕、与謝野馨が中川を「悪魔に魅入られた輩」と形容して谷垣擁護に回った。自民党は、結党の頃の政争のダイナミズムを取り戻したようです。国民(党人派)対役人(官僚派)の代理戦争の始まりですね。遅くなりましたが私は歳出削減論者であります。

文責:清水 佑三

2005/12/05 641

肯定的にものごとを捉えられる人になりたいと切望しています。

そうですね。私がとても好んでいるAさんの話をしましょう。その人は映画をみると10本のうち9本は「時間の無駄だった」と思うのだそうです。私はちょうどその反対の人でランダムに10本の映画を見せられたら、確実に9本は「面白かったなあ」と思う人です。そのうち3本くらいはエンドマークが出た瞬間に拍手をしているような人です。この違いがどこからくるのか、それぞれの人がその性質を交換できるのかどうか。尽きせぬ興味がありますね。その答えはわかりませんが、ひとつだけお奨めしたいのは「恋愛」です。その世界に入ってゆくと「あばたもえくぼ」に見えてきます。恋愛対象者をどんどん多くしてゆくと宇宙のあばたが全部えくぼに見えてくること必定であります。

文責:清水 佑三