人事部長からの質問

2006/02/16 688

管理職の資格試験制度をみなおしたい。留意点を。

現行の制度がスタートしたときの「趣意書」をもう一度とりだし、よく眺めてください。まさにそのとおりと思うことが書かれていると思います。このことをよくよく考えてゆくと、実は本当の問題は制度の善し悪しではなく、制度の運用が「立法の趣旨」を踏まえてなされていないことにあったと気づくはずです。たとえていえば職能等級制度です。この制度は、職能のレベルを基準にして処遇を対応させる制度です。お相撲さんや野球の選手をみればわかるとおり、職能はつねにアップダウンします。当然、処遇もアップダウンさせないと立法の趣旨に反します。しかし、どこの会社も職能等級制度をそのように運用していない。真の問題は制度の内容にあるのではなく、運用の仕方にあります。運用を見直すのが先ではないかと思うのです。

文責:清水 佑三

2006/02/15 687

人格障害者の犯罪に「動機」を問うのって無意味ですよね。

この欄でも以前、人格障害という言葉を使ってきましたが、同じいうのならば、パーソナリティ障害という言葉のほうがよいように思います。人格障害だと善悪につながる全否定的な印象を伴いますが、パーソナリティ障害であれば、同じように障害という言葉を使っても、パーソナリティ(=社会的仮面)という言葉がもつあいまいで複雑な響きによって否定のニュアンスがやわらげられると思うからです。それはそれとして、ご指摘のように「血が騒いだ」「悪魔が自分に忍び込んだ」といって人を殺した凶悪犯罪者に「合理的な説明責任」を求めるのは、無理だし無意味だと思います。吉田兼好が、徒然草で「狂人の真似とて大路を走らば、すなはち狂人なり」と喝破したのはまことにむべなるかなと思うのです。行動の結果責任をとってもらうことだけが、被害者を供養する人の道だと思うのです。

文責:清水 佑三

2006/02/14 686

街に出れば、おじさん/おじいさんニートばかりですよね。

質問ではないと思いますが、面白いもの云いだと思って取り上げました。まさにそうですよね。働かざるもの、食うべからずと言い出したのは誰なのでしょうか。釈尊?孔子・孟子?イエス・キリストですか?少ない金で心を充実させて生きるすべをもっている彼らこそ、人生の勝利者ではないでしょうか。ニートに限らずフリーターもそうです。「それじゃあ、頑張ってね」と手をふって別れるシーンよりも、「take it easy」といって別れるシーンの方が共感できます。自殺してはいけないとか、頑張らないといけないというのはどうしてだかだれか教えてください。貧しい呪縛ではないですか?

文責:清水 佑三

2006/02/13 685

また同じ質問です。コミュニケーション能力とはなんですか?

ご質問に、「採用基準や社員のモチベーション向上の鍵などとして、コミュニケーション能力のみが声高に叫ばれている現状に違和感を感じます。」 と添えられていました。腹にすえかねている、という感じがよく伝わってきます。私も同じ意見で小泉さんが、「戦争によって命を失った人の御霊に詣でることを自国民から批判されるのはよく理解できない、それでおしまい。」 といいたくなるのはよくわかります。価値観が水と油である場合、コミュニケーション能力が機能する場はないと思います。同じ価値観のもとで、伝達効率を高める場合にそういう技術が必要だというのはよく理解できます。

文責:清水 佑三

2006/02/10 684

全く新しいことを生み出せる人を見つけるコツは?

ノーベル賞受賞の島津製作所、田中耕一さんのことを思い出します。NHK総合テレビ番組『人間ドキュメント』で紹介されていた挿話ですが、島津製作所の中央研究所勤務に興味をもっていた田中耕一さんが研究所見学をしたときに、導入されたばかりのレーザーイオン化実験機の前にたって「これは何の役に立つ機械ですか?」と研究所の人に尋ねました。「体内組織の成分分析とか、薬の作用を追うとか、生命のしくみの解明などに使う機械です。」 という説明をきいて、「実は私の母は、私を生んだ直後に死んで、私は養母に育てられました。それをつい最近知りました。とてもショックでした。亡くなった母が不憫でなりません。電気をやってきたのですが、そういう不幸な事態がなくなるようにあらためて医学の世界に行こうかと考えていました。ここでもしそういう医学に貢献できる仕事ができるのならとても嬉しいです。」 と恥ずかしそうに、しかし目を輝かせて語ったそうです。こういうやりとりをしていただければと思います。

文責:清水 佑三