人事部長からの質問

2006/03/09 703

創造的な資質は面接と小論文とでどちらによく出ますか?

明らかに小論文だと思います。それも「水平思考力」がわかるような課題がいいです。たとえば、その日の朝のニュースで飛び出した衝撃的な社会的事件をとりあげ、「こういう問題の再発防止策を提案してください。あなた自身の経験をもとにしてよく考えそこから提案をしてください。」 と添えるとよいでしょう。創造的な資質の個人差がよくあらわれます。自分の足、目、耳で情報をとり、そこから思考をめぐらすタイプの人の「再発防止策」と与えられた課題の解き方を探そうとする人のそれとではインパクトがまったく違うのです。「自分の経験をもとにして考えよ」という条件付けがポイントです。

文責:清水 佑三

2006/03/08 702

顧客満足度は大切だと思いますか?

大切だと思いますね。ただ、例えばプロ野球の監督にとっての顧客は誰なのか、と考えてゆくとたちまち闇の中に吸い込まれてゆきます。誰が顧客かわからなければ、満足度のあげようがありません。ところで、社長にとっての顧客って誰なんでしょうか。私は社員ではないかと勝手に思っているのですが、ほんとにそうなのかよくわからないですね。といった感じで、自分の仕事の顧客を自信をもって定義できたらその時点で勝負あっただと思います。

文責:清水 佑三

2006/03/07 701

先日の新聞に「人格障害者」という言葉が登場しましたね。

私も驚きました。毎日新聞(2月15日)だったかと思いますが、見出しに「奈良小1女児殺害、反社会性人格障害と診断」とありました。奈良市の小1女児誘拐・殺人事件で殺人罪などに問われた37歳の元新聞販売所従業員について東京医科歯科大学の山上教授(犯罪精神医学)ら鑑定人二人が出した被告鑑定書の内容が記事になったのです。今月下旬に予定されている奈良地裁の公判で、この鑑定書が審理される予定だそうです。反社会的人格障害者は、顕著な自己中心性、顕示性、虚言傾向などの性格的な特徴をもち、反社会的な犯罪を犯しやすいとされています。犯罪容疑者に対する鑑定史上では今まで「心身損耗」という言葉が多く使われてきました。「機能障害」的な名称ですね。被告人鑑定で「人格障害」に言及したのは画期的です。機能障害と人格障害は天と地ほどに異なる概念です。

文責:清水 佑三

2006/03/06 700

御社受験層には何か特徴がありますか?

ありますね。とても顕著な特徴があります。「自分は口ベタだし、内向的で人づきあいがうまくない。」 という人たちがたくさん応募してきていると思います。採用ホームページに、「何を言っているのかよくわからない人がいい」と書いているためだと思います。そういう人と話していると心が休まります。その反対の人たちが社会を占拠してしまっているからでしょうね。良寛戒語にあるように「言葉の多き」「口のはやき」「てがら話」「良く心得ぬことを人にいふ」「ことごとしく物いふ」人たちはほんとにダメだと思う。良寛さんが嫌ったタイプを当社では敬遠させていただいているだけです。

文責:清水 佑三

2006/03/03 699

グループ討議の効用が疑わしくなったが。

学生が「集団討議」に慣れてきており全員が合格点に達しているように思えてしまうことがある、と添えておられます。「傾向と対策」恐怖症候群ですね。視点を変えてみましょう。同じ詩文を渡してその朗読を俳優学校の入学試験に課している場面です。そういう場面においても「全員が慣れてきており、合格点に達してしまう。」 という判断となるでしょうか。学生落語の全国大会で同じ「演題」を競演させたとしましょう。「慣れてきて評価不能」となるでしょうか。なりません。見る人、判断する人の問題です。 ―かりにそういう場面に私をおいてみてくれ、この人の職業、寿命はいくつまで、この人は将来漂泊するだろう、などと予言してみせる― 私の悪い冗談ではなく、ゲーテの言葉です。「誰でもいい、私の前に15分間おいてしゃべらせてみてくれ。」 につづく台詞です。問題は選考方法にあるのではなく、選考する人にあります。

文責:清水 佑三