人事部長からの質問

2003/09/10 98

若さとは何ですか?

私は柳田國男さんが好きで、毎晩、かならず一定時間をこの人の本を読むことにあてています。柳田さんのご本には「若さ」が感じ取れるのですね。『山の人生』にしても『海上の道』にしても何か共通するものがあります。幼児時代の甘い想像が根底に潜んでいるように思います。彼はもらいッ子で、今でいうひきこもりの傾向をもった病弱で鋭敏な子供でした。預けられた家のお蔵にあった本を手当たり次第に読んで空想をするのが愉しくて仕方がなかったようです。その空想が、長じてからの彼の本のいたるところに出ています。『山の人生』は六尺、赤顔、毛むくじゃら、というヤマビトと呼ばれる日本原人がつい最近まで我々のすぐ側まで出てきて、我々と接触したという事跡を拾い集めた本です。こういう「空想する能力」がイコール「若さ」ではないか、と思っています。

文責:清水 佑三