人事部長からの質問
子供のもつ第六感は、なぜ大人になると衰えるのでしょうか。
「昨日、食事中に、娘が架空の友人“タイチ君”の存在をしきりに訴えていました。“ここにいる、ここにいる”とテーブルの隣の席を指さして叫ぶのです。私も小さかったときにお化けを見たのを思いだしました。お化けも最近は寄り付いてくれなくなりました。こういう子供特有の現象をどう解釈されますか。」 朋あり、遠方より来る、また愉しからずや、の思いで読ませていただきました。民俗学の柳田國男さんも子供の頃、同じような経験を何度もしています。『山の人生』という晩年の著作の中で、人さらいにあう子供のタイプについて言及していますが、質問者の娘さんのようなタイプの人だといっています。気をつけてくださいね。“お化け感受性”が大人になると衰えるのは、そういうのはナシだという大人社会の呪縛が一人ひとりの内面で強化されてゆくからではないでしょうか。会社の食堂で“タイチ君だ、来た来た”といったら笑われてしまうのです。とても寂しいですね。
文責:清水 佑三
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