人事部長からの質問
M&Aについてどう考えておられますか?
Marvin L. Minskyという著名なアメリカの数学者、人工知能研究者がいます。1960年ごろから人工知能研究に注力し、自然言語理解や場面の理解の枠組みとなる理論である「フレーム理論」を提唱しました。MITに人工知能研究所を設立したのも彼です。彼が、NHKの番組で「パーソナリティという概念は人類がもった最大の誤謬の一つかもしれない。ことによると、昨日の自分と今日の自分には連続性が認められないのかもしれない」と語っていたことがありました。そうかもしれないのですね。ひとつの会社を一人の人のように見立てて、誕生から成長、発展、再生、復活といった物語を想定する「社史編纂的」視点は(ミィンスキーがいうように)誤謬なのかもしれないですね。会社とはフィクションであり、道具である、と思えばM&Aは、別段、とりたててどうこういうことでもないように思えます。「月去り星は移るとも、とわに称えんわが母校」の学校もM&Aでなくなってしまうのが「自然」なのかもしれません。
文責:清水 佑三
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