人事部長からの質問

2003/08/15 80

改革が実行できない。もどかしい。

達者な競泳者でなくても、水中で泳ぎもどきの行動をすると、前に進みます。この泳ぎもどきをして、前に進んでゆく感触がとても大切だと思っています。微々たる前進であっても、それが全社で行われたとしましょう。とうとうたる変革のうねり、運動になるはずです。燕の昭王の故事ではありませんが、「まず隗(かい)より始めよ」です。もっともみぢかな場所で、今までヘンだヘンだと思ってきたことを変えるのです。それが現実的で有効な変容であれば、かならずそれへの「真似」が生まれます。その「真似」の連鎖が改革なのです。足元からやってみてください。大上段に振りかぶった改革の狼煙は別な政治的な狙いをもっているものであり、動機が汚れているものです。きれいな町をつくるためには、それぞれの家の前を、それぞれの家が綺麗にしてゆけばよいのです。そのうちに、共通の場所にも関心が及び、みんなで片付けようとなってゆきます。改革の力学とはそういうものです。

文責:清水 佑三