人事部長からの質問

2003/08/14 79

「数字と人情」の売れ行きは?

あまり芳しくないそうです。馬券を買うのと同じで、本を出すときはいつも(10万部売れる)夢を見ます。その夢はなかなか叶えられません。人は、だからこそまた馬券を買うのだと思います。今度の本にはたくさんの思い入れがあります。一番の思い入れは、人情ばなしのタッチを出したい、ということでした。通勤車中では、いつも、一昔前の、円生、金馬、志ん生のLPをミニ・ディスクに録音したものを聞いています。それが数少ないわが道楽なのです。落語そのものを文章に落としても商品になりにくいかもしれませんが、落語がもつ独特のタッチのようなもの、味わいのようなものを文章にしたい、が(私の)強い思い入れなのです。今回の本でできた部分もありますが、できなかった部分も多々ありました。こうした挑戦を続けてゆければいいなあと思いますが、売れない本ばかり出すとそのうち版元さんが相手にしてくれなくなりますよね。

文責:清水 佑三