人事部長からの質問
「分散・自立・協調」を説くヒエラルキー否定の組織論があります。清水さんのご意見は?
R&D部隊においては、ご指摘の考え方はあるとみています。なぜなら、仕事が限りなく「偶然性に依拠する」からです。田中耕一さんのノーベル賞受賞につながった「生体高分子の質量分析法のための脱離イオン化法の発見」の契機は、NHKの『人間ドキュメント』によれば、ほとんど試行錯誤の連続の中で偶然の産物としてなされたようです。こうした偶然を長いこと待ち続けた田中さんも偉いが、それを許した島津製作所も偉いです。成果、成果で走るヒエラルキー(組織)のもとではたぶん生まれなかったでしょう。R&D部隊をのぞけば(私見では)モルトケの組織論の方が現実的かつ有効であるとみます。(→人事改革、各社の試み、「日本テレコム」欄参照)
文責:清水 佑三
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