人事部長からの質問
想像しやすいシーンが豊富に提供されるeラーニングによって人は本当に鍛えられるものでしょうか。
「今の新入社員は大変だと思います。 自分が新入社員だったころ、雑務と呼ばれる周辺業務から仕事を学ぶことが多かったと思います。ITを含め技術は限りなく進歩しているが、働く側の人間がそれにともなって進歩しているか。むしろ技術の発達につれて苦痛や不安は変わらないか(または増えている)と思います。 いかがでしょうか。」 が質問に添えられていた文章です。おっしゃるとおりだと思います。eラーニングについて申し上げれば、それが有効なのは「センス測定」の分野だけです。球技でいえば、動体視力の個人差測定には有効であるが、(動体視力が)弱い人には(eラーニングは)なすすべがありません。むしろ、人を本当に鍛えるのは試合そのものです。試合で自分の身体が(自分の期待どおりに)動いてくれない現実にぶつかり愕然とする。それを超えてゆくためには死に物狂いの練習をするしかない。その練習を通して突然「開眼」がなされ、その「開眼」を確かなものにする執拗な肉体化のプロセスが続きます。人が鍛えられてゆくプロセスはそれしかないです。
文責:清水 佑三
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