人事部長からの質問
分社化と子会社統合と、どちらがよいのか?
エス・エイチ・エルグループを例にとって申し上げると、30の国と地域にあった現地法人を統合して1997年に完全に一本化しました。ただ、日本とスペインだけは、いろいろな経緯・事情があって、分社化のままで残しました。各国の現地法人はすべて同種の仕事をしており、分社化と統合化のどちらがよいか、ひとつの実験的な事例を提供していると思います。結論的にいえば、今のところ、分社化したスペインと日本の二つの拠点が元気がよく、統合化された本体は、低迷を余儀なくされています。ご質問を政治になぞらえれば、中央集権制度をとった明治政府と300の藩に自治を認めた江戸幕府のどちらが(天下万民にとって)よかったか、でしょう。優れた人物、文化、環境をつくったという点では江戸時代に軍配があがるように思います。特に、学問・芸術・政治において、明治以降の貧困には目を覆うものがあると私はみています。詳説するスペースがないのでここでとめますが、中央集権化思想は進化の阻害要因であり、人の心に棲んでいる「おもしろいことをおもしろくやりたい」という根源的な欲求を摘み取るところがある、とみています。回答になっていませんか。
文責:清水 佑三
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